マックスは走りながら後ろを振り返る。時折見かけるアカデミーの先生に、いちいち立ち止って謝りながら、タロウが追いかけてきた。
「今日はどうしたんだろう?!」
廊下を走るのはいけないことだと思っていても、ついつられてメビウスも走ってしまう。
「わからん!」
二人に少し遅れてゼノンが必死に追いついてくる。
「こっちこっち!」
廊下の角からシトロネラが顔を出した。
「シトロネラ!」
シトロネラは教室の中に三人を引っ張りこむと、そろりと、しかし素早くドアを閉めた。そのまま声を上げずに天井を指さす。タロウの足音が聞こえて、三人は頷いた。
「いない!」
廊下の角を曲がったタロウは、眼光鋭く辺りを見渡したが、三人組の姿は何処にも見当たらない。
(どこかの教室に隠れたんだろう)
(わかっています)
廊下の片列に並ぶ教室の何所か。入れば子供が息づく気配ぐらいはわかる。タロウは片っ端から開けるつもりで、曲がってすぐの教室のドアを開けた。
誰もいなかった。タロウは目を閉じて気配を探った。ややあって、産毛をかするぐらいの僅かな気配を感じる。それは遠くへと離れていくようだった。
「隣か・・・・」
(いいや)
扇の音がパチンとした。
(天井か床下を透視しろ)
「はあ?」
(いいからやれ)
タロウは渋々と天井を透視した。真下から、四つ這いになっているメビウスが見えた。
「本当にいた?!」
(お、一発目で当たったか。うんうん)
ゾフィーが嬉しそうに頷いた。
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