もしも小話

アニメや特撮等、筆者の見たものの「もしも~」的な話を載せたりするブログです。無断転載禁止。

酒場にて6

「ゾフィー兄さん、ですか?」
ゲンは鳩が豆鉄砲を食らったような表情をした。
「ええ。あれ? 知りませんか?」
「いえ、あなたがまさか、あの人を『兄さん』と呼ぶとは思わなかったもので」
「別れる瞬間まで、タロウの記憶は全部持っています。ゾフィー兄さんは俺達の家庭教師だったんですよ。あと、セブン兄さんもね」
悪戯っぽく笑う光太郎に、しばしゲンは息を飲んだ。
二人分の記憶を無理なく抱え(しかも片方の寿命はべらぼうに長い)、受け入れるというのは、並大抵ではない。
「タロウ兄さんから聞いたことはありますが、東さんはなるほどなかなかの好漢のようですね」
できるだけ言葉を選んだつもりだが、それを別の意味にとったのか、他の客が割り込んできた。
「そりゃあ、光太郎さんですからねえ。この間もうちの店に来たら、バイトの子がキャーキャー騒いで、大変でしたよ」
「でしょうね」
ニケはすました顔で相槌を打つと、くすり、と笑った。
「なるほど」
つられてゲンの緊張も緩んだ。
「そんなにうるさかったっけ? 物静かでいいお店でしたよ?」
ゲンはマスターに小声で囁いた。
「ひょっとしてあんまり自覚がない?」
「あんまりどころか全然」
これまたマスターが面白そうに言う。
「ははあ」
すっかり緊張の解けたゲンは、また可笑しそうに微笑んだ。
「マスター、一杯作ってくれないかな」
「はい。何にしましょう?」
「冒険野郎にふさわしいカクテル、かな」
マスターは心得たと、実に楽しそうに笑った。
「じゃあ、ドンペリのドンペリ割で」
「そいつあ豪快でいい」
(何が豪快だよ! 割り切れないよ! 俺の気持ちも! 大体、どっちが払うの?!)
(ちょっと黙ってろ、アストラ)
ゲンのそっけないテレパシーに、明日人は頬をぷぅと膨らませると、ジントニックを一気に飲んだ。
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Man in the Mirror48

「養成所?!」「非常勤講師?!」
二人は慌ててプレートを取り出すと、転送されたデータを見た。ゾフィーのサイン入りの正式文書が届いている。しかも削除できないように強力なプロテクトがかけてある。
「あの、今回みたいな任務は?」
「もちろんやってもらう。それと並行してだ」
二人は揃って息を吐きだすと、ソファの背もたれに寄りかかった。
「いいですよ、やります」
先に返事をしたのはアストラだった。
「アストラ?」
レオが驚いて身を起こす。
「そんなに驚かないでよ、レオ兄さん。単なる心境の変化。
それに、もう辞令は発行されちゃってるわけだし。子供達と一緒にいれば元気になれるのは確かだろうし」
アストラはそういって笑うと、おどけて肩を竦めてみせた。
「そうか、引き受けてくれるか。ありがとう」
ゾフィーが笑顔で返すと、レオも辞令を受け取った。
「タロウが喜ぶな。早速報告に行こう」
「隊長自らですか?」
「そうだとも」
ゾフィーは立ち上がると、マントを羽織った。
「所長にもついでに紹介しておこうか」。ついてきなさい」
ゾフィーはディナに断って隊長室から出る。自然とアシェルとルベンが後ろについた。
アストラはレオと一緒に歩いていたが、少しだけ早足になってゾフィーに並んだ。
「あの空間、慣れているの?」
「それほどでもない。だが、恨み事は言われなれているよ」
「そう」
アストラはそれだけを確認すると、腕を頭の後ろで組んで、レオのところへと戻った。
「何を言ってきたんだ?」
「んーん、ナイショ」
口の端を吊り上げて、ニヤリと笑う。
「ま、あの人も苦労したことはあるってことがわかったよ」
「そうか」
まだ少し疑問気味のレオと一緒に、アストラはゾフィーの後をついて行った。




                        END

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Man in the Mirror47

三日後。
レオは入院したものの、エネルギー不足だけだったために即日退院。アストラは火傷のために二日入院した。
報告書の提出も兼ねて本部に出頭すると(作成は寮で)、ゾフィーから呼び出された。応接室に入ると、ゼブルンがお茶を淹れてくれる。
「今年の新作なんですよ」
と、可愛いティーポットとカップを使って。
「はあ、どうも・・・・」
「そういえば、君達に事件のその後の報告をしていなかったな」
ゾフィーはカップの側面に描かれているキャラクターの顔を見てちょっと笑うと、そのままお茶を飲んだ。
「イカルス星人の作っていた閉鎖空間は解体した。繋がっていた生体実験場三つと、採掘した鉱物の貯蓄所が五つ。これは今宇宙警察と合同で調査している」
「あの坑道の人達は助かったんですか?」
「あの時点で生存していた者は、な」
ゾフィーの声には無念さが多大に含まれていたが、それだけだ。今からどうこうはできない。
「そうですか、良かった」
レオがほっと胸を撫で下ろす。目の前にいる人だけでも助けられたのだ。
「しかし君も律儀だな」
ゾフィーは面白そうに笑った。
「何も出てくる敵を全部倒さなくても良かろうに」
報告書のプレートから顔をあげる。変異したロックラット、リメル星人との戦闘から転送させられて数十体の怪獣を倒したところまで。スタミナがよく続いたものだ。
「元の空間に戻る手段がなかったものですから」
ゾフィーは首を傾げた。
「君はデコーダを持っているだろう?」
「いいえ。持ってませんよ」
「あるだろう。ええと・・・そう、地球で言う『びっくりどっきりメカ』」
「妙な日本語憶えないでください。なんですか、それは」
ゾフィーはトントンと、自分の二の腕を叩いた。「あ」とレオが声をあげる。
「ウルトラマント・・・・・」
思い出した。以前、マザラス星人の鏡の世界からの脱出に使った。確かに。
沈むレオを見てアストラは軽く溜息を吐いた。
「そういえば、あの星人が黒くなった現象はなんなんですか? 異次元に行ったら消えましたけど」
「あれは四次元に移動して、三次元との境界面近くに身を置いただけだ。境界面近くだから、三次元側にいる方からは姿は見えるが、実際には四次元に存在しているから触ることはできない」
「へえ」
簡潔な説明に感心する。意外と教えることが上手なのかもしれない。
ゾフィーはカップ一杯分を飲み終わると、プレートを出して二人にデータを転送した。
「辞令だ。養成所の非常勤講師をするように」
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酒場にて5

振り返ると、そこは素顔を露出させた、多くの宇宙人がいた。人間の顔や手をしたままの方が少数だ。サングラスをして、無理に表情を隠そうとしている人物が一人、グラスを傾けているのが見える。
(あれがアストラか)
変装後の姿をあっさりと見つけてしまったゲンは、小さく笑った。それから、自分の後ろの小さなテーブルに座っている人を見つけた。
白いワンピースに長くウェーブのかかった髪をたらし、穏やかに微笑んでいる、女性だった。
一瞬、誰だったかわからなかったが、記憶の中とは寸分も違わぬその姿にすぐに思い出し、ゲンは表情を一変させた。
立ち上がって彼女のいる席の前に行くと、頭を下げる。
「あなたでしたか」
「ええ」
アルファ星人のニケは、ゲンを促して隣の席に座らせた。
「私が、あなたのことを光太郎さんに伝えたんです。メッセージも私が送ったんですよ」
「そうだったんですか」
ゲンは本当に嬉しそうにニケを見た。
(ちょっと兄さん! 何、鼻の下伸ばしてるの!)
(誰が伸ばしてるんだ。ちょっと黙ってろ)
「東さんとは、どういった?」
「以前に、地球に来た時に助けていただいたんです。
その時、あなたに似ていると思いましたわ。そうしたら、やっぱり彼もウルトラマンだった」
「そうでしたか」
ゲンは目を細めた。アルファ星人が正式に地球に来るのは4年に一度だ。あれからの周期を計算すると、今年は4年目に当たらない。多分、今日の為に来てくれたのだろう。
「ずいぶんひさしぶりですね」
「ええ。本当に。でも私、最近は毎年来ているんですよ」
ニケは幸せそうに笑った。
「毎年?」
「ええ」
決まりを破って毎年来るとはなんだろうか、と一瞬考えたが、すぐに思い当たることがあった。
「じゃあ北山さんも、元気にしておられるのですね」
「ええ。・・・・子供もいます。今日は昼間に家族と会って、夜にはあなたと会って。幸せな一日でしたわ」
「それはそれは」
ゲンは生真面目な北山の顔を思い出した。日本支部所属だが、当時けがで入院していた北山隊員は、シルバーブルーメの来襲に合っていない。生きている知人がいるということは、ゲンに何よりの安堵を与えてくれた。
「お子さんはどちらが?」
「彼のところに預けています。地球にいたほうが、狙われないと思って」
「今でもしつこく狙ってくるのか・・・」
ノースサタン星人を思い出して、ゲンは眉をひそめた。
「それで、あなたが彼女を救ってくれたわけですね」
と光太郎に向き直る。
「倒してはないんですよ。素手で殴って追い払っただけですし。
良かったらゾフィー兄さんか誰かに連絡しておいてください」

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Man in the Mirror46

「そうかそうか。頑張れよ」
気楽に言ったゾフィーのカラータイマーが点滅した。
「全然ダメじゃないか! げほっ・・・・うううっ・・・・」
「君も感じている通り、この次元にいるとエネルギーの消耗が激しい。だが、ここに居た方が都合がいい。一つは・・・・」
イカルス星人が握りしめた拳を水平に突き出した。すると拳の方に、黒い縦の線が出現した。驚いたのは一瞬だけで、どっと押し寄せる悪意に、慌ててアストラは心を閉ざした。無関心でいなければいけない。通り過ぎるただの景色として。それでも、見ずにはいられない。
線は拳を垂直に通り抜け、肘まで行って止まった。そのまま数秒、固まっている。
「な、何故だ?! どうした?!」
今度は足元から黒い線が水平に上がってくる。それは膝の辺りで止まった。
「なんだ、これは?! 一体どうしたああ・・・ああーーーー?!」
後半の叫びはゾフィーに殴られたドップラー効果だ。ゾフィーはそのまま追い打ちをかけた。倒れたイカルス星人の両足を掴んで振り回すと、遠心力に任せて放り投げる。倒れた星人に飛びかかって連続でパンチをを入れる。星人が抵抗してアロー光線を放つと、飛び退ってかわした。
アストラの側近くに戻ってきたゾフィーが続きを解説する。
「あいつは四次元に手や足を入れて三次元空間を歪曲させ、攻撃をしてくるが、ここはその四次元を含んだ世界だ。だから能力のない君でも四次元が見える」
(あの黒い線はそれか・・・・)
アストラは声にもテレパシーにも出さずに自分の内で頷いた。
「そしてもう一つの利点は」
イカルス星人がよろよろと片手でバランスを取って立ち上がる。憎々しげな視線が、怨念の空気を一層強めた。
ゾフィーは真っ直ぐに右腕を突きだす。
「私が全力を出しても問題がない」
アストラが見たこともないような光量が迸った。一瞬で視界を奪われ、超高温の余熱がアストラの皮膚を焼く。
「さて、戻るとするか」
眩しさのあまり視界を失ったアストラを、ゾフィーが抱えあげた。
「そうそう、利点はもう一つ。ここからなら、三次元も四次元も覗くことができて、ショートカットで移動ができる」
周りの空気が正常化したのだけが、アストラにわかった。
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Man in the Mirror45

割れた空間の内側に入ると、倒れ星人の足を掴んでいた指先から、ぞわりと毒の霧にでも触れたような、悪寒が広がる。全身の力が急速に奪われていき、爪先が異次元に入りきると、空間が閉じるのと同時に倒れこんだ。ゾフィーはイカルス星人を投げ飛ばし、乱暴にアストラの手を引き剝した。
「すぐに心を閉じろ。発狂するぞ」
ゾフィーはアストラを抱え起こすこともせず、星人の様子を伺っている。
「げほっ、げほっ・・・・な、何・・・これ、は・・・・」
 
 あいつのせいだ おまえのせいだ あんたさえいなければ
 にくい くやしい ふくしゅうを しんでしまえ くるしめばいいんだ

怨嗟の声が、肌の内側に入ってくる。
「これ、は・・・・・」
「怨念のたまる場所。ここはヤプールの世界だ」
空気の圧力が変わった。
「ぐっ・・・・」
アストラは沸き起こる嘔吐感に耐え切れず、心を閉ざした。捨てられた人形のように体を弛緩させ、目だけを見開く。背を向けているゾフィーが、つけっぱなしのTVの中の登場人物のように遠くなる。全てに関心が向かない閉じた自分の世界。そこまでしてやっと、アストラは自分の身を守ることができた。
空圧の元にはイカルス星人がいた。憎悪の視線をゾフィーに浴びせている。その所為で怨嗟の濃度がまた高まったのだ。
「怨、念の、かた、まり・・・・概念、存在・・・・・」
閉ざした心から、わずかに感じ取れることだけをアストラは声に出した。その声を媒介に、”心の毒”が入ってきて、アストラは吐息と共にそれを吐きだした。
星人は再びアロー光線を放った。それをゾフィーがバリアを張って防ぐ。アストラはぼんやりとそれを眺めていた。
「どうした、貴様の熱線は通じないぞ」
星人は残った拳を震わせた。
「ならばこの手で嬲り殺してくれるッ!!」

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Man in the Mirror44

ボトッとイカルス星人の片腕が地面に落ちた。
「ぜー・・・はー・・・・」
切断された腕の付け根を押さえつけ、イカルス星人が実体化する。
ガラスの様に割れた空間の向こうには極色彩の別世界が広がり、そこからゾフィーとイサカルが破片を跨いで地面に降り立つ。二人が出ると、散らばった破片は自動的に元の位置の空間にはめ込まれた。
「な、何・・・今の・・・・」
茫然とするアストラとは真逆にゾフィーは悠然として足元に落ちていた腕を拾った。
「おや、誰かの腕をうっかり切ってしまったようだな。誰のものかな?」
「きっ、貴様・・・貴様ぁぁああああ!!」
ゾフィーは一転して表情を引き締めると、星人の腕を投げ捨てた。そして辺りの空間のあっちこっちに浮かぶ別世界への窓を見渡す。
「違法空間歪曲罪の適用が認められるな。この数だと懲役1億年というところか」
イサカルは倒れているレオの頭の下に腕を入れた。
「結構やられましたな、レオ坊ちゃん」
「・・・・すみません・・・・・」
アストラは星人の動きに注意を向けながらも、レオとイサカルの傍に寄った。
「レオ兄さん、大丈夫?」
「ああ、なんとか・・・・・」
「さて、どうする? 宇宙警察に引き渡してもいいし、この場で引導を渡してやるのも構わんぞ」
「許さん!!」
激怒した星人の様子に、ゾフィーは振り返らずに言った。
「イサカル、レオとアストラを連れて先に行け!」
「わかりやした」
「逃がさんぞ!!」
星人は全身からアロー光線を発した。
「むっ?!」
咄嗟にゾフィーがバリアを張る。傘のような半球のバリアに、横に弾かれた光が転がっている岩を溶解させた。光量に目を覆っていたアストラは、肌に感じた熱に目を開いた。
「こんな強力な武器を持っていたなんて・・・・」
「ぐわっ!」
ゾフィーが突然前につんのめった。星人の足がゾフィーの背中を蹴飛ばしたのだ。
「宇宙警備隊長か。だったら尚更ここからは出させん! 貴様の首を上げて、宇宙に名乗りをあげてやる!」
体制を整えたゾフィーは、ネガとなった星人の姿を見て顔を顰めた。
「境界線にいるのか。そして歪曲させた空間から体の部分を出しての攻撃。
面倒だな」
「ははははは・・・・! こういうこともできるのだぞ!」
イカルス星人はアロー光線を発射する。それは途中で消え、イサカルやレオ、アストラの頭上から降り注いだ。
「「「うわあああ!!」」」
ゾフィーも頭を抱えてつんのめる。
「また頭が燃えたるところだったではないか!」
ゾフィーはぱたぱたと手で頭の消火をすると、星人を睨みつけた。
「私の腕を奪った貴様は、嬲り殺して屍を全宇宙にさらしてやる!」
「アストラ坊ちゃん」
イサカルが成り行きを見守っているアストラに声をかけた。
「ここから離脱いたしやすよ」
「でも、まだ・・・・・」
「あとは隊長さんに任せておけば大丈夫でさぁ。さ、お早く」
イサカルはレオを抱えたまま指先を動かした。蒼い光がイサカルとレオの体に纏わりつく。
ゾフィーは右腕を真っ直ぐ横に伸ばした。中指の先から、ゾフィーの体が消えていく。そして、バリーン!! という音と共に、ネガとなっているイカルス星人の背後の空間が割れた。空間の裂け目から、ゾフィーの右腕が星人の首を絡め取る。
「な、何っ?!」
星人はゾフィーに触れられている首から、実体化していく。
「面倒だから、面倒にならない場所に移動しよう」
空間の裂け目の向こうから、ゾフィーが顔を出した。
「アストラ坊ちゃん!」
イサカルの声に振り返ると、もう彼の体は体の半分以上が消えていて、残りは僅かに首を残すのみだ。レオは既に転送が完了している。
「放せ、貴様!!」
星人はアロー光線を放つが、別次元にあるゾフィーの体には何の影響もない。咄嗟に伏せて被害を押させたアストラは顔をあげた。そしてそのまま星人の方に向かって走り出す。
「アストラ坊ちゃん!」
叫んだ時、イサカルの残っていた首も消えた。
アストラはダイブして星人の足首を掴んだ。
「アストラ?!」
空間の向こうから驚いたゾフィーの声がする。
「僕はまだ、アンタを認めちゃいないんだ!!」
ゾフィーは腕に力を込めて、一気に二人を異次元へと引きずりこんだ。

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酒場にて4

(…動揺するな、アストラ)
(だって、兄さん…)
(先入観は禁物だ。…今のところは黙って偵察役に徹していろ)
少しばかり不満げな気配が伝わってきたが、いったんテレパスは途絶えた。入れ替わりに後方のテーブルの一つから声がかかる。
「…こっちにも水割りを」
「かしこまりました」
マスターがにっこりと応じて、背後の棚から新しい壜を選び始める。それを横目で見やりながら、ゲンは「ぷはっ」と息を吐き、からになったグラスを卓上に置いた。
「…なかなかユニークな知己が多いようだ」
「若い頃から地球のあっちこっちを旅してましたから。いまでも、思い立つとふらっと出かけちゃうんですよ。…その中で、俺は、いろいろな人に出会った。国を越えて、星を超えてね。いろいろな話を、聞きました。この星の話も、ほかの星の話もね」
光太郎は少しも変わらぬペースでにこやかにグラスを傾けている。
「わたしも、防衛の任務がとりあえず終ったときは、地球をめぐる旅にでて、いろいろな場所へ出かけましたよ」ゲンは思い出すように目を細めた。…自分が守ってきたこの星を、改めて自分の目でゆっくりと確かめたかった。戦いの中で散って行った多くの命に、花も手向けたかった。いつでも戻っておいでといってくれた人々を、中でも孤独を共に耐えて、実の弟のように身を寄せ合った少年を、夕日の中に残して、それでも発たずにはおれなかった。
「… …」
 ゲンのまなかいによみがえる、輝くような赤い空と、海。
「地球はとても美しい星だ。旅の中で、改めて感動しました」
 マスターが戻ってきて、美しい琥珀色の液体に満たされた新しいグラスを、ゲンの前に置いていった。
「ウィスキーの語源は、『生命の水』というそうです」
光太郎が穏やかに言った。
ゲンは静かにそれを手に取る。
「おそらくわたしと同じような存在は、この地球上に多くいるのでしょう」
「ええ、いますよ、たくさん」
光太郎は無邪気な笑顔のまま、形のよいあごを軽く動かして、ゲンの背後を示した。

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天から来た勇者7

「メーテ」
プエルがメーテの服を引っ張る。慌てて我に返ったメーテは、すぐに犬の傍にしゃがんで様子を見た。毛をめくって傷を調べる姿に、シリアスはメーテのすぐ隣にしゃがんで様子を伺う。
「レイザーを治せるんですか?」
「ええ、これぐらいの傷だったら大丈夫よ」
言ってしまってから、メーテは自らの言葉づかいに恥じた。子供達と接しているのと同じように扱うだなんて。
「そうですか」
網が食い込んでできた傷からは、まだ血が流れている。
「まずは血を洗い流さないといけないわ。ロイテ、水を汲んできて」
「・・・・わかった」
ロイテは少し不機嫌そうに返事をすると、余っている桶を掴んで走り出した。メーテは住居にしている洞窟に入って洗った包帯を取ってきた。乾燥させた薬草をすりつぶす。その間、シリアスがずっと側についてきた。自分の中を見通そうとされているような気がして、メーテは何とかそれを防ごうと話題を探した。
「あ、あの・・・あなた、お名前は?」
動くメーテに合わせて花の香りが漂ってくる。シリアスはその香りを知っているような気がした。
「・・・・・シリアス」
「そ、そう・・・・いい名前ね」
シリアスはそれには返事をせず、レイザーの頭を撫でている。
「レイザー、大丈夫?」
ナジェやプエルもレイザーに近づいたが、シリアスはそれを冷たく一瞥した。
「ふぇ・・・・・」
ニーニャが泣きそうな声を洩らす。
「ちょっと! そんなに睨まなくてもいいでしょ!」
アマタがニーニャを抱き寄せてシリアスを睨む。シリアスは立ち上がってその倍の眼光で以て答えた。メーテに背を向けたシリアスのケープが揺らめき、近寄りがたい気配を全身に纏わせる。美しく整った容貌に、その気配はあまりに似合いすぎていた。
(なんて綺麗なんだろう・・・・・)
だがメーテの視界には、気圧されたアマタと今にも泣きそうなニーニャの姿が入ってきた。見惚れている場合ではない。
「アマタ、やめなさい。シリアスは、レイザーが心配なだけなのよ」
「で、でもメーテ!」
「シリアス、この子達にも、レイザーに触らせてあげたらダメかしら?」
また年下と接するような口調になってしまったことに、メーテは恥じた。俯いた頭からカレーシェの花がこぼれおちる。
ふっ、とまたシリアスの鼻孔を花の香りがくすぐった。
「・・・・・ツルバラ・・・・・」
「え?」
自然と口から洩れた単語に、シリアスの記憶が蘇る。この香りは、ツルバラの香りだった。母が好きだったあの花の。
シリアスは膝をついて、落ちたカレーシェの花を拾った。香を嗅ぐと、さっき微風に混じっていた時とは微妙に違う。
「おい何やってるんだよ!」
大急ぎで戻ってきたロイテが、息を弾ませながら怒鳴った。走った所為で上着の裾やズボンに水がこぼれている。
「おまえ、ニーニャやメーテを泣かしたのか?!」
「大丈夫よ。ロイテ、水をお願い」
立ち上がってロイテの側に行こうとするメーテの髪に、誰かが触った。
「え?」
振り返ると、シリアスがカレーシェの花をつけようと手を伸ばしていた。
「つけなさい。動いた方が香りが良いですから」
「え、ええ・・・・・ありがとう」
触れるシリアスの手は白くて柔らかく、細い指先は整っていて、重たいものを持ったこともなければ、ナイフを使ったことも洗濯をしたこともなさそうだった。
メーテは不機嫌な表情のロイテから水の入った桶を受け取ると、すりつぶした薬草と混ぜてペースト状にした。シリアスはしゃんでレイザーの頭をずっと撫でている。そして布を濡らしてレイザーの傷口を洗浄すると、薬をつけて包帯を巻いた。レイザーはこの間、ずっとシリアスの手を舐めていた。
「はい。これでいいわよ。よく我慢したわね。良い子だわ、レイザー」
メーテはシリアスの手を避けて、レイザーの背中を撫でた。こんなに綺麗な毛並みの動物にも触ったことがない。
「いいでしょう」
「え?」
「触るのを許可します。・・・・・あなた方にも」
心配そうに見守っていたナジェ達は、わっとレイザーに群がった。
(バカなことを・・・・私は一体何を口走っているのだ?)
隣で「良かったわね」と笑顔を振りまくメーテの髪から、ツルバラの香りがする。


『ははうえ、ははうえのにおい、もらってもいい?』
『まあシリアス。まだ香水なんて早いわ。それに、これは女の子用なのよ』
『でも、私も母上の匂いが好きです!』
『ワルターは良いお兄ちゃんね。でもね、私と同じ香水をつけても、同じ香りにはならないのよ』


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酒場にて3

「そうですね」
光太郎は、どこか悪戯っ子のような、眩しい笑顔で笑って、ゲンと同時にグラスを口に運んだ。
「ところで、今日はどうしてまた? いや、言い方が悪いですが、何故、今更?」
「ここを教えたかったんです」
光太郎はぐるっとバーの中を見渡した。
「今更って言われるかもしれませんが・・・・すみません、忘れてました」
ゲンはあやうくカウンターに顔面を叩きつけそうになった。
(おいおい、大丈夫かよ・・・・・)
頭の中に明日人のテレパシーが響く。
(ちょっと黙ってろ。聞かれたらどうするんだ)
(はいはい)
「いい店ですね」
ゲンはできるだけ冷静な声を出そうと努めた。
「行きつけですか」
「ええ。マスターと知り合いなんで」
「またまた」
マスターはシェーカーを振りながら、嬉しそうに光太郎を見る。
「東さんの口添えがあったから、店を出せたんですよ」
そのマスターの顔が、スライドの様にいきなり宇宙人の顔になった。
ゲンは思わず息を飲んだ。それを誤魔化すように、グラスに半分以上残っていた酒を一気に煽る。
(マジ?!)
明日人の幼いようなテレパシーが聞こえた。

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Man in the Mirror43

そのまま間髪入れずに倒れたイカルス星人の体を掴み上げ、何度もチョップを入れた。そのまま地面に叩きつける。
「ぐおうぉぉ・・・・・・」
「ふん・・・・・・」
アストラが肩で息をしながら星人を見下し、光線を放った。
星人の姿が突然影のように暗くなり、放った光を素通しさせた。
「なっ・・・・?!」
「ふははははは・・・・!」
イカルス星人は勝ち誇った笑い声をあげると、今度は完全に姿を消した。
「ど、何処に行った?!」
アストラは慌てて周囲を見渡した。何処にいない。手も足も、頭も。どのパーツもない。
(それに、さっきの影みたいなのは・・・なんだ・・・・?!)
「うわああっ・・・・・!」
レオの声にアストラは振り返った。レオの腹を、片足だけが踏みつけている。
「レオ兄さん! やめろ!!」
慌てて走り出すが、レオに触れるほんの直前、背後から肩を掴まれた。振り返るとイカルス星人の肘から先だけがアストラの両肩を掴んでいる。
「放せっ! このっ!!」
「ヒッヒッヒッヒ・・・・・」
首だけの星人がアストラの正面に現れた。
「どうした? おまえが私を倒すんじゃなかったのか?」
「倒してやるさ! 今すぐに!!」
アストラは正面に向かって足を蹴り上げた。だが首は写真のネガのように黒くなり、足は素通りする。
レオはハンドスライサーで星人の足を薙いだ。不意にアストラは暴れる勢いのまま、前のめりになった。
「うわっ?!」
肩を掴んでいた手がない。起き上がりかけていたレオの首が、地面から生えた首に掴まれ、地中に引きずりこまれそうになっていた。
「ああーーー!!」
「レオ兄さん!」
近づこうとするアストラの腹が蹴飛ばされる。
「うう・・・・・・」
アストラの前で、首を絞められたレオが声も出せずに、手をほどこうと地面の上でのたうちまわっていた。
「よせっ! やめろーーーー!!

               バリーン!!

ガラスの割れるような音と共に、アストラの視界の一部が割れた。
「ぎゃああああああ!!!」
空間をガラスのように割って。
「大丈夫か?」
ゾフィーが姿を表した。


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酒場にて2

数時間の後。ゲンは、都内のとある路地の奥、「バー・バッカス」と書かれた、シックな木製の扉の前に立っていた。
「ここか」
ゲンがドアを開けると、カウンターに座っていた男性が、マスターに促されて、後ろを振り返った。
「おおとりゲンさんですか? はじめまして。東光太郎です」
にこやかな、笑顔。その場の空気がすっと清涼感を増したような気がする。
「はじめまして」
ゲンも会釈し、とりあえずカウンターの光太郎のとなりに腰を下ろした。「…失礼」
マスターがゲンの前にグラスをおき、一礼してカウンターの端へ行くと、光太郎は人懐こい笑顔のまま、気さくに話しかけてきた。
「あなたが現役ウルトラマンレオさんですね」
「現役…ですか」
ゲンは苦笑する。
「現役のウルトラマンということであれば、既に後進ががんばっていますよ」
「俺は 元 ですから。あなたは現役じゃないですか」
「わたしの場合、そもそもが擬態ですから。それに、今は一人の地球人として、暮らしています」
「俺も、一人の地球人ですよ」
「だったらわれわれは、二人とも「元」ということになる」
ゲンは前に置かれたグラスを光太郎のそれにかちりと合わせた。

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Man in the Mirror42

「こ、こんなバカな・・・・・」
イカルス星人は、累々と転がる怪獣の死体に愕然とする。用意しておいた手駒のクローン怪獣のほとんどが倒されていた。残っている二匹は、紅い二頭の獅子に倒されるのを待つばかりであった。
「うう・・・・」
足元をふらつかせたレオが、片膝をついた。
「レオ兄さん?!」
カラータイマーが赤になってから大分経つ。アストラは構えたまま視線だけをレオに向けた。アストラのカラータイマーも赤になっているが、経過時間が違う。
「大丈夫だ・・・・まだ戦える・・・・!
イヤーーーーー!!!」
レオは勢いをつけて立ち上がると、そのまま向かってきた怪獣に拳を叩きこんだ。だが、怪獣はそれをものともせずにレオを持ち上げると、地面に叩きつける。
「うわあーーー!!」
「レオ兄さん!」
アストラは背後から襲ってきた怪獣に肘鉄を数発喰らわせ、トドメにキックで頭を蹴り潰した。そしてレオの上に乗って巨大な手を叩きつけている怪獣の背後から首を締めあげて、レオから引きずり降ろす。そしてレオを抱き抱えると、怪獣に向かって片手で光線を放った。
「すまない、アストラ・・・・・」
「いいよ。あと敵は一人なんだ。僕が相手をするッ!」
「ふん、貴様が私を倒すことなどできん」
正面から睨みつけるアストラをイカルス星人が嘲笑すると、星人の両腕がなくなった。
「?! うっ・・・・・!」
アストラの首を、肘から先のない手が締め付けていた。
「こ、い・・つっ・・・・!」
アストラが力任せに引き離そうとすると、それは突然消えた。
「?!」
ドガッ! と背中が蹴飛ばされる。
「うわあっ!」
「アストラ!」
レオが立ちあがろうとすると、爪先だけの足がレオの顎を蹴り上げた。
「ぐおぅ!」
倒れたアストラの前に、五体を戻したイカルス星人が立ちはだかった。倒れたままのアストラの頭を踏みつける。
「どうした? さっきの威勢は」
「うう・・・こ・・・・の・・・・ぉおお!!」
アストラは全身の力を込めて立ち上がり、イカルス星人の体を跳ね飛ばした。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

酒場にて1

ある日のこと。明日人の事務所にゲン宛の封筒が来た。別に珍しいことではない。事務所の取締役はゲンになっているからだ。ただ、その封筒は女の子が好みそうな、花柄の大変可愛らしいものだったが。
ゲンはソファに座り、少々戸惑いながらその封筒を手に取った。
「兄さんにラブレター?」
明日人はソファの上からゲンの手元を覗きこむ。並ぶと歳の離れた兄弟か、伯父と甥ぐらいに見える。
「そんなんじゃないだろう。多分」
ゲンは苦笑しつつもペーパーカッターでそっと封筒を破る。中から今度は、茶色の給料明細入れにでも使うような、色気もへったくれもない封筒が出てきた。少し出鼻をくじかれ、今度は乱暴に封筒を頭を指で切る。今度は名刺大のカードが出てきた。真っ白な地に紫色の縁取りがしてあり、何所かの店の地図が描かれている。ひっくり返すと万年筆の筆跡があった。
「『バッカス』で待っています。元ウルトラマンタロウより。・・・新手の罠?」
「罠ならもっと”らしく”書くだろう。むしろ手書きだから、本人だと思うんだが・・・・」
「どういうこと?」
「たぶん、以前にタロウ兄さんと一体化していた地球人から、だと思う。なかなか達筆だ。宇宙人が一朝一夕に真似できる筆運びじゃないな」
「よくわからないんだけど。仮にタロウ兄さんと一体化していた本人だったとして、なんだって今更兄さん宛にメッセージなんか送ってくるの? 光の国がピンチの時にも来なかったのに・・・・」
「人間になってしまえば、それ相応の事情ってもんがあるさ」
「そういうもんかな」
明日人はイマイチ納得的ない表情でカードを受け取り、バッカスとその最寄駅までの地図を見た。
「それで、どうするの? 行ってみる?」
「うん、まあ、行ってみてもいいかな、とも思っている」
「ふーん・・・・」
明日人は生返事をしながらも、ゲンの方を見て少しだけ表情を変えた。
「元ウルトラマンタロウ…か。俺も一度見てみたい気もするけどね」
「お前も来るか?」
ゲンの見透かしたような笑顔に、明日人も悪戯っ子のような眼差しを向けた。
「まあ、今回は偵察役ってことにするよ。…まずは第一印象を審査だね」
ソファから身を放すと、隣の衣装部屋に体を向ける。今日は一日オフなのだ。
「お前のお得意の変装ってやつか。…じゃあ、向こうで会おう」
ゲンはソファから立ち上がると、ジャケットを手に取った。
「OK!」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

リレー小説

リンク先の一つ、「闇本舗」さんとよくチャットをします。しているうちにうっかりリレー小説に・・・・なんてのは日常茶飯事です。
勿体ないので、ストーリーとして起承転結できたものを載せることにしてみました。

これは「闇本舗」さんのところにも同時に掲載されます。自分の書いた範囲ぐらいは改訂しているので、見比べたら違いが出てくると思います。


で、リレーで使用した設定を少々。


明日人(あすと)   アストラ人間体。闇本舗さんのところのキャラクター。擬態の練習を一生懸命したので、地球人になることができた。途中、あまりに擬態ができないため、カツラと化粧で誤魔化せないかと研究しているうちに変装マニアに。擬態はできるようになったが腿の鎖は相変わらず。
現在は地球でシンガーソングライターとして活動しながら、お兄ちゃん大好きで、ちょっと我儘な、弟ライフを満喫中。左右の瞳の色は右が青に左が緑のオッドアイ。ロシアンブルーか。お高いネコめ!
ゲンと光太郎に関してはツッコミ役になる。
私の基本イメージは銀魂の山崎だったりするのだが(笑)「もういいよ、めんどくせーよ、おめーら」とか言うしかない状況が来るかもしれない。

おおとりゲン   レオ人間体。私が書くと天然ボケになってしまう。周囲に合わせて歳をとった姿にしてきたが、たまに若くなって明日人と入れ替わったりする。光太郎と一緒にいると、銀魂のゴリさんのイメージがしてしまうのは私だけだろうか。

東光太郎   タロウと分離した地球人。しかしタロウ12000年分の記憶は全て保持。歳をとっているはずなのに、天然熱血超絶爽やかイケメンなのは相変わらず。ここでは総監ではなく、一人の冒険者。特撮ニュータイプのインタビューで篠田さんが「裕福ではないけれど、人助けをしているでしょうね」と言っていたイメージで。ゲンと揃うと銀魂の坂田サンの役に。たぶんゲンと一緒に星人を素手で倒して、上から火炎瓶を投げた揚句に「何かありましたか?」とかとぼけるんだろう。残された明日人が哀れだ・・・・。

ミリー ビブロス星人(ウルトラマン80、12話より)の女の子。現在、いろいろあって明日人の事務所の有能なスタッフに。経理も担当している。

ヒビノ ミライ ウルトラマンメビウスの人間体。闇本舗さんの設定の一部をお借りして、女の子。光太郎にはとても懐いている。タロウが後で嫉妬するかもしれない。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror41

イサカルが監督所の外に出ると、空が翳ってきた。
「こりゃまた規模の大きなことで」
空間閉鎖バリアが惑星ラドゥナを丸ごと覆っていく。イサカルはしばらく空を眺めていたが、やがて空を飛んで別の監督所へと行った。
別の惑星国家が管理しているそこにも、一人だけ監督者がいて、背中を向けるとロックラットの本性を現して攻撃してきた。
「つまり、ネズミに喰わせるか、鉱山におびき寄せて・・・・ってトコですかね」
ここの監督者に化けていたロックラットが示したのは別の坑道だった。
イサカルは左手を天にかざすと光を放った。一発目のデコーダで閉鎖空間に穴が開き、二発目でウルトラサインを描いた。そして最初の監督所に戻る。しばらく暇をつぶしていると、ゾフィーが来た。
「イサカル、ちゃんと連絡してくれて嬉しい。どうやらイイ感じの事件だな」
「何がイイ感じか知りませんがね。あの二人はデコーダやエンコーダの能力持ってないでしょう。ちょいと荷が重たかったんじゃないんですかい」
「まさか。レオはちゃんとデコーダを持っているぞ」
ゾフィーは心外なと肩を竦めてみせた。
「さて、それでは二人がいるという坑道に行ってみようか。こっそりと」
イサカルは軽く肩を竦めて、ゾフィーの後に続いた。
坑道に一歩入ると、いきなり海に落ちた。
「ぷはっ!」
「入口からこれですかい」
海上に浮かんで、襲ってきたサメを三枚下ろしにする。
「一歩踏み出していきなり海なんてのは初めてだぞ。なかなかイイセンスだ。これは使えるな」
「本部にしかけないでくださいよ」
「罰ゲームに丁度いい」
ゾフィーはプレートを取り出すと、波に揺られながらメモを取った。
「しかしこのままではレオ兄弟のところに辿り着けないな」
「接続面を解析しやしょう」
「いや。それには及ばない」
ゾフィーはニヤリと笑った。イサカルはその笑顔に嫌なことを思い出し、うんざりとした表情を返す。
「おい坊主」
思わず昔のままの言葉づかいに戻ってしまう。
「おめぇさん、何たくらんでやがる」
「別にたくらんでなんかいませんよ、イサカルさん」
つられてゾフィーも昔の言葉で返した。
「どうだか。おめぇさんがそうやって笑ってる時は、大体ロクなこと考えてねぇからな。しかもタロウ坊ちゃんやエース坊ちゃんよりも、なまじっか知識がある分、タチが悪ぃ」
「私は何時だって最善の方法を考えているだけですよ。
で、思い浮かびました。簡単に二人を発見できて、尚且つ敵を驚かせる方法を」
ゾフィーはそう言うと、波の上に腕を出した。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

拍手ありがとうございます

4コマさん>レオ兄さん、頑張ってますよ! 双子でも兄は兄、弟は弟。で格好良い兄さんと可愛い弟で行きたいと思います。

yamiさん>どうも、ご好評いただいているイサカルです。なんとなくレッド族のような感じがしてきました。アっちゃんも頑張っておりますよ! 弟らしく可愛らしくw

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Man in the Mirror40

ラドゥナに降り立ったイサカルは、まずは発掘監督所へと行った。
「ごめんなすってぇ」
中でイスに座ってぼうっとしていた監督者が、びくっと体を震わせ、イサカルの方を振り向いた。
「ああ、すみませんね」
イサカルは左手を軽くあげて詫びた。
「あっしは宇宙警備隊から来たもんで。通信が途絶えたって聞きましたが、あんたは無事みたいですね」
監督者は『宇宙警備隊』という言葉に席を立ちあがってイサカルを歓迎した。
「じゃあ助かるんですね! 良かった! 坑道からロックラットの大軍が出てきて通信機は壊されるし、採掘用のロボットは壊されるしで、困っていたんです!」
「そうでしたか。ご苦労なさいましたね」
勧められるまま椅子に座り、事情を聞く。
「他の国の監督所はどうですかぃ?」
「可能な限り行ってみましたが、どこもここと同じような状態です。無人になってしまっている監督所もあって・・・・・・テレパシーも使えない状態だったので、恐ろしくて」
「そうですか。ところで、先に様子見にうちの若いのを寄越したんですが、来ませんでしたかねぇ?」
「え、ええ・・・・・数時間前に、お二人。ですが、坑道に向かってからまだ戻ってきていません」
「なるほど」
イサカルは報告書をどうしようかと頭の中でまとめた。複数の人員で救助や調査に行き、一人しか生存者が見つからない場合、事情聴取の為に先に帰さないといけないのだ。
「困ったもんだ。何処の坑道に行くとか、言ってませんでしたかね?」
「ええと、おそらく最初にロックラットが出てきた坑道かと・・・・・」
監督者は地図を出すと、幾つもの鉱山の中から一つ、ここから近い物を指さした。
「ここです」
「わかりやした。ちょいと迎えに行ってきますんで、もう少し待っててくださいよ」
「ああ、ありがとうございます!」
イサカルは席を立つと、監督者に背を向ける。
「気をつけてください」
「ええ」
監督所を出て行くイサカルの背中に、監督の心配そうな声がかかる。
「後ろからも襲ってきますから」
ごろん、とロックラットの首が床に落ちた。
イサカルの左手の小指側の側面が青く輝いている。光を納めて振り返ると、監督者の皮が真ん中から割れ、首のない大きなネズミの死体が転がっていた。
「おやまぁ、すみませんね。殺気に慣れちまってるもんで」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror39

怪獣の頭を蹴り砕き、レオは着地した。ぜいぜいと肩で息をしていて、カラータイマーも間もなく赤になりそうだった。すでに数十匹の怪獣を倒しているが、空間に開いた窓からは、尚も怪獣が出現してくる。ロックラットもその中には混じっていた。
空気の変化を感じてレオはその場から飛び退った。ぐにゃり、とゼリーのように空間が歪み、紅い雫が滴った。
「アストラ!」
レオは襲ってきた怪獣を横殴りに倒して慌てて吐き出されたアストラに駆け寄った。
「大丈夫か?! しっかりしろ!」
首に巻きつく白い紐のようなものを剝して投げ捨てる。それは千切れたトカゲの尻尾のようにのたうち、やがて大人しくなった。
「う、あ・・・レオ兄さん・・・・・」
抱えあげられていたアストラは、レオの背後に迫った怪獣に目を見開く。レオはアストラを抱えたまま、振り向きざまに踵蹴りで怪獣を吹っ飛ばした。とうとうカラータイマーが点滅する。
「レオ兄さん?!」
「星人はどうなった?」
アストラを地面におろして、レオは周囲を囲む怪獣に対して構えを取った。
「たぶん、倒したと思う・・・・でも、ごめん。あそこの人達を、まだ助けてない・・・・・」
俯くアストラの前で、レオはまた一体の怪獣を屠る。
「だったらここを抜けだして、それから助けに行けばいい!」
アストラはその言葉に、大きく頷いた。
「イヤァーーーー!!!」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror38

アストラは足をその場につけたまま、身を投げ出すようにしてルービックキューブを拾った。そしてその場から一歩、立ち上がった。空間転移は起きない。
「やっぱりこれが制御装置だったのか!」
「しまった!」
アストラはルービクッキューブを構えてリメル星人を睨みつける。アストラには、この装置の使い方がわからないのだ。だが優位を相手に見せなければいけない。
「良かった!」
「助かるぞ!」
「流石ウルトラマン!」
戦いを見守っていた人達は、安堵を口にした。
「ふん、だが貴様にその使い方はわかるまい」
「別に全部を知る必要はない。今、このまま安定していればいいんだからな」
アストラは装置の主電源を探してキューブに指を這わせた。それを見たリメル星人の右手の指が伸びた。
「?!」
六本の指が、それぞれアストラの首、両腕、ウエスト、両足に絡みつき、ぎりぎりと恐ろしいほどの万力で締めあげる。
「ぐっ・・・・!」
二本の指がアストラの腕を外側に引っ張り、ルービックキューブを落とさせようとする。
「う・・・・」
アストラはキューブを持った腕に絡みつく指を掴んだ。アストラの両腕に力がこもる。
「おおおおおおーーーー!!!」

            ブチィッ!!

一本の中指が千切れた。
「ぎゃああああ!!」
よろめく星人の残った指をハンドスライサーで切断する。
「ぐおおお・・・・!」
アストラは首に残っていた指を投げ捨てると、エネルギー光球を放った。リメル星人の腹に焼け焦げた穴が空き、ゆっくりとうつ伏せに倒れる。
「やったーー!!」
周りの人達が歓声をあげた。アストラは肩で息をしながら、ルービックキューブを見下す。
「電源・・・・切らないと・・・・・」
スイッチを探して表面をなぞる。千切れた指が突然アストラに襲いかかった。
「なっ・・・・?!」
再び首や腕に絡みつき、そのうちの一本がルービックキューブに触る。蒼い光がアストラにまとわりついた。
「しまっ・・・・」
呼吸が苦しくなった一瞬、アストラの視界は切り替わった。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror37

レオは突然変わった空間の色に、焦って辺りを見渡した。さっきまでいたのは坑道の突き当りだったのに、今度いるのはどこかの荒野だ。生物の反応のない、月の表面のような、ごつごつとしたクレーターが随所にある。そしてレオの周囲には、人一人ぐらいの大きさの窓があった。
枠も何もない窓が、空間にただ浮いている。幾つも幾つも。
「なんだ、これは・・・・・?」
「はははは・・・・また一人来たか」
レオは後ろから聞こえた声に振り返った。窓の一つから異様に発達した耳と体毛を持った星人が姿を現した。
「何者だ?! リメル星人の仲間か?!」
「いかにも。この星のレアメタルは我々イカルス星人がいただく」
「そんなことはさせん!!」
レオはイカルス星人に向かって行った。
「イヤーーー!」
手刀がイカルス星人の肩に振り下ろされる。だが、イカルス星人は奇妙な動きで5メートル程テレポーテーションをしてそれをかわす。
「くっ!」
踏鞴を踏んだレオは、耳障りな笑い声をあげるイカルス星人に再度向かって行った。だが今度も同じことで、星人はやはり同じように、レオから僅かに離れただけの位置に出現する。
「無駄だ、無駄!  ここは4次元世界の一角。貴様の能力など通用するか」
イカルス星人の片手が、いきなり消えた。肘から先がない。
「?!」
不意にレオは肩を掴まれた。振り返れば、手があった。肘から先の手だけが。
「?!」
「そら、他の連中と同じように、怪獣の餌となってしまえ!」
そのまま物凄い力で窓の前に放り捨てられる。
「うわあっ!」
地面に倒れたレオは、頭上からの気配に慌てて横に転がった。ノシン! と重量が地面の岩を踏み砕く。
空間に浮かぶ全ての窓から、怪獣が姿を現してきた。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

天から来た勇者6

メーテはニーニャを連れて、川で洗濯をしていた。これを終えたら、綿の畑に行くつもりだ。雪解け水はまだ冷たく、洗剤を節約しながら洗っているメーテの手は赤くなっていた。ぎゅっと布を絞ると、親指の付け根あたりの皮が剥ける。
「メーテ!」
ニーニャが後ろから声をかけてきた。両手を後ろに回して何か隠している。
「なぁに?」
「はい!」
ニーニャがメーテの頭の上に、何かをぱらぱらと落とした。亜麻色の長い髪を伝って、それはメーテの肩や服に落ちた。カレーシェの花だ。
「まぁ、綺麗・・・・・」
カレーシェの花は、小さくて控え目のピンクの花だが、良い香りがする。村祭りの折りには、娘たちは皆、この花で全身を飾っていた。
「ありがとう、ニーニャ」
「うん!」
メーテは花を両耳の上に飾り、腰紐にも刺した。残りはアマタにあげようと、洗いあがった洗濯物の一番上に置く。
「それじゃ、行きましょうか」
「うん!」
ニーニャは洗濯かごの小さな方を持ってメーテの後をついてくる。
「メーテー!」
森の方から、ナジェが走ってきた。
「どうしたの? ナジェ」
「犬を見つけたんだ! それが怪我してて・・・・・あとその犬の友達も」
「犬の友達?」
ナジェはニーニャとは反対側のメーテの隣につくと、洗濯かごを一つ貰いうけた。

住み家に戻ると、メーテは焚き火跡に佇む少年を見つけた。ロイテやユーバがその少年を軽く睨みつけていて、アマタがしゃがんで犬の様子を見ている。
少年は透通った白い肌に紫水晶の瞳をしていた。背中まで伸びた長い髪は、よく梳かれていてメーテのものよりもずっと艶やかで、身につけている衣装も絹だと一目でわかった。
陽光を受けた彼の立ち姿は、メーテが今まで見たことのある人間の誰よりも、ずっと美しかった。
まるで天使のように。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror36

「そういえば、貴様もウルトラマンだったか」
リメル星人は嘲笑うように言うと、手の中のルービックキューブをちらつかせる。
一方、周りの人達もアストラを見る目も変わった。
アストラはその視線を多少感じつつも、神経は体を動かす方に集中させる。さっきのレオのようにゆっくりと体全体を振り返らせる。
(ゆっくり・・・・そうだ、ゆっくりするしかない。明確に動くというのはいけない)
足の裏を地面につけたまま、ゆっくりと方向転換を。
だがリメル星人はその動きの意図に気づいたのか、先に光弾を放ってきた。着きだされた腕が半円を描き、周りにいる人達に向けて。アストラは咄嗟に腕をつき出し、紅いバリアを張った。間一髪で人々に直撃はしなかったものの、エネルギーのぶつかり合う衝撃波で岩盤にヒビが入り、ぱらぱらと石が落ちてきた。
「っく・・・・・」
アストラはバリアを張りながら、体を徐々にずらしていく。周りの人達は、不安そうにアストラとリメル星人を交互に見た。
そしてついにアストラは、星人に対して正面を向いた。バリアの出力を更にあげる。
「何っ?!」
「う・・・・・おおおおーーーー!!!」
膨れ上がった真紅の光が天井や床を削り、リメル星人の光弾をはじき返して前進する壁になる。アストラの銀の面が光を受けて紅く染まる。バリアは星人に当たってもなお前進し、押しつぶそうとする。
「いかん、このままでは!」
星人がルービックキューブに両手を添えた。
「させないっ!」
アストラはバリアを解くと星人に向かって飛び蹴りを放った。
「ぐわっ!」
ルービックキューブが地面に落ちた。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror35

パチリと小気味の良い音が盤を打つ。
「っ・・・・・」
口元を曲げるイサカルを見ながら、ゾフィーは涼しい顔で石を取った。
「じゃあ、こっちをいただきやしょう」
イサカルは隣の盤で駒を進めると、舌打ちするゾフィーを見ながら一つ駒を奪った。更に隣にも盤が広げられ、二人は三面打ちをしていた。
「レオ兄弟から中間報告は届いたか?」
ゾフィーは気を取り直すために顔をあげ、離れた席でファンシー雑貨の店をチェックしているキルシュ、ペシェ、ゼブルンに声をかける。
「まだですぅ」
「そうか」
「まだ報告なんて早いでしょう。でかけて数時間しか経ってませんや。それに初めての任務ってぇなら、大体、終わらせてから報告したがるもんでさぁ」
「そりゃ卒業したての新人だろう」
「あっちの弟の坊ちゃんは、そういう感じがしませんかね」
イサカルは面白そうに言うと、駒を進めた。
「しないではない・・・というよりも、私に反発したがっている感じだな」
同じくゾフィーも慎重に隣の盤の駒を進める。
「御慧眼で」
イサカルは肩を竦めてみせた。
「そんな思春期な彼らが少々気になるな。というわけで、ちょっと様子を見てきて欲しいのだが」
「この局面を放り出せっていうんですかい?」
ちょいちょいと石を持ったまま三つの盤を指差す。
「じゃあテレパシーで目隠し将棋」
「隊長さんの悔しがる顔が見るためにやってるのに、何言うんですかい。
ルベン」
イサカルは隣のテーブルで本を読んでいるルベンに声をかけた。
「今、犯人がわかりそうなので後にしてください。いい感じに毒殺されかけました。これで容疑者が二人に絞れる」
シメオンはまた撮影にでかけている。別の場所でアシェルとディナが覗いているファッション雑誌の表紙には、シメオンが微笑んでいた。
「決まりだな」
ゾフィーがポンと駒を下す。
「チェックメイトだ」
「ああっ?! アンタ何すんですか?!」
イサカルはゾフィーを睨みつけると、渋々席を立った。
「それじゃ行ってきますがね。勝手に動かさないでくださいよ」
「わかっている。面白そうな事態だったら連絡してくれ」
幸いにも午前中だけで業務は終わり、就業時間終了までヒマだった。
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Man in the Mirror34

レオは一気にリメル星人との距離を詰めると、両肩を掴んで連続して右足のキックを叩きこんだ。足元のふらついた星人の右肩に、突き飛ばすようなチョップを振り下ろす。
「うう・・・・・」
よろよろと後方に後辞去る星人の肩を掴むと、そのままアストラ達のいる方に向かって投げ飛ばした。
そしてレオは振り返った。ゆらりと、質量を感じさせない動きで。
「?」
アストラはその動きに釘づけになった。非常にゆっくりとした動きに見えたのだが、何時もとは何かが違う。そして、また完全に振り返っているのに別の空間に飛ばされていない。
(レオ兄さん、一体何を・・・・)
(よし、使える! すり足なら、一歩としてカウントされない!)
レオは倒れた星人の首根っ子を掴み、更に岩壁に叩きつけた。ぱらぱらと天井や壁から小さな石が落ちる。レオが倒れた星人に近づこうと間横を向くのを、アストラは注意深く観察した。
レオは倒れた星人の上に飛び乗って、鼻先に拳を突きつけた。
「さあ、観念して空間閉鎖を解くんだ!」
「ふん、バカめ!」
リメル星人は倒れたまま不敵に笑うと、手の中のルービックキューブを回転させた。回転する隙間から蒼い光がすりつぶされたように零れると、同じ光がレオにまとわりつき、いきなり消えた。
レオを連れて。
星人はルービックキューブを持ったまま大義そうに立ち上がり、わざとらしく背中の土を払った。
「れ、レオ兄さん!!」
アストラは唐突に消えたレオに愕然とする。やっとなんとか脱出できると思ったのに。しかも今度は二人一緒ではない。アストラには守らなければいけない人々もいる。
「そ、そんな・・・・ウルトラマンがやられてしまうなんて・・・・・」
事の成り行きを見ていた人々が落胆の声を出す。その言葉に、アストラはふつふつと怒りが湧いてきた。
「なんでもかんでも頼りにするんじゃない!」
「?!」
思わず怒鳴った声に、星人もアストラを凝視した。
「だけど、ウルトラマンならもう一人いる!」
啖呵を切ってリメrル星人を見たアストラは、ルービックキューブに焦点を絞った。
(あれだ。あれさえ奪えば、空間制御ができる。そうしたらレオ兄さんも・・・・・!)
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テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror33

「それは、どんな手段だね?」
しわがれた声がした。その場にいた人たちの顔色が悪くなり、慌ててツルハシをもって岩壁に向かおうとする。レオとアストラは声のした方を振り返って睨みつけた。
片手にルービックキューブのような物を持った、白っぽいひし形に近いようなシルエットを持った星人が坑道の突き当りに姿を現した。
「リメル星人・・・・!」
護衛の人が軽く睨んだが、そこには諦めの色も混じっていた。
「貴様がこの惑星の空間位相をずらしていたんだな!」
レオが上体を捻ったままリメル星人を睨みつけた。
「ほう、貴様はウルトラマンレオか。まさかこんなところにいるとは・・・・・」
「ウルトラマン?!」
その言葉に、周りにいた人達が俯いていた顔を上げる。その表情は明らかに変わっていた。絶対に助かるという安堵感に包まれている。
アストラは「ウルトラマン」という言葉の意味を、今度こそはっきりと理解した。
「だが、その様子では貴様には空間閉鎖を解除できないらしいな。丁度いい」
リメル星人は働かされている人達を一通り見渡すと、にたりと笑った。
「見せしめにしてくれる!」
リメル星人の手から連続して光弾が発射される。
「イヤァッ!」
それをレオは手刀で叩き落とした。地面に数か所穴が開いた。この坑道が埋まることも、誰かが死ぬことも全く考えていない攻撃に、真紅の怒りが立ち上る。
「貴様のような奴は許しておけん!」
(アストラ、この人達を頼んだぞ)
短いテレパシーを出したレオに頷いたアストラは異変に気づいた。自分と同じように岩壁に向かって足を向けていたはずのレオが、何時の間にか星人に対して真っ直ぐ向いている。
(え?)
「エイャーーー!!」
レオは真っ直ぐリメル星人に向かって走り出した。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

拍手、コメント、ありがとうございます。

4コマさん>はい、何かってほどじゃないですが。レイザーは常にシリアスの会話のきっかけを作ってくれるのです。

報告さん>ハワイに続いて、女子更衣室出してみました。ブラジャーとかじゃないのは、地球じゃない星に行っちゃったからです。・・・そんなの書いてねぇ・・・orz

初めて気づいた・・・orz

恥ずかしくて、顔あげられません。

・・・拍手でもらった非公開コメント、今日初めて見れる機能を発見。
ぎゃーーー!! 何か月書いてるんだよーー!!
うわ、4コマさん以外にもコメント書いてくださっている方がいっぱいーー!!

ああ、皆さん、ごめんなさいっ・・・!!

これからはちゃんとチェックしますーーー!! orzorzorzoroz

テーマ:あ゛ぁ゛――(●`Д´●)――!!!! - ジャンル:日記

Man in the Mirror32

洞窟の奥へと進んでいくと、やがて複数の金属のような音がしてきた。
「この音・・・・まさか?!」
二人は顔を見合わせて走り出す。音が洞窟内で反響しながら、だんだんと大きくなってくる。突き当りに当たると、何人もの人影あった。
原始的なツルハシを振い、光の国の住人達が岩を掘っている。ひたすら真っ直ぐに。砕けた岩盤をロボットが別の方向へと運んで、一瞬で消えた。消えたロボットは土砂を下した状態で再び労働者の元へと現れ、再び土砂を集めて運ぶ。
誰もが一方向へと動いていた。
「・・・・・着いた! ここが坑道だ!!」
「おい、宇宙警備隊だ! 助けに来たぞ!」
レオとアストラが働かされている人達のところへ行くと、彼らは首だけを二人に向けた。
「警備隊の方ですか?」
一人、ツルハシを振っていた人が手を止めて二人を見る。
「はい。要請を受けて調査に来ました」
「調査・・・・・」
その人はレオの言葉に肩を落とした。
「あの、何か・・・・?」
「私はここの護衛をしていた者です。内部の異変に気づいて坑道に入ったら、わけのわからない場所へあっちこっち飛ばされ、最後にここに・・・・。
デコーダは持っていますか?」
デコーダとは、空間閉鎖の解除や捻じ曲げられた空間を元に戻す能力か、それと同じ機能を持つアイテムのことだ。空間を捻じ曲げることは連邦の法律でも厳しく取り締まられている。通常は防衛のために惑星を覆うことが許されるぐらいだ。双子は首を振った。
「そんな・・・・・」
周りの人達も一気に落胆した。
「大丈夫です、デコーダがなくても脱出できる方法はあります!」
レオは胸を張ってそう言った。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror31

二人が同時に一歩を踏み出す。雪の上に足跡がついた。光景は変わっていない。
「大丈夫、だ・・・・」
更に二三歩進むが雪景色は変わらない。レオはある種の確信を持ってアストラの方を向いた。
「アストラ、次は右に行くぞ」
アストラは勢い混んで頷く。手を繋いだまま右に一歩動くと、今度はどこかのジャングルになった。
「なるほど、その場から前後左右に動くと別の場所に移動するのか」
「じゃあ、このまま試していけば、元の坑道に戻れるかもしれないね」
「ああ」
二人はそれから、マイムマイムのように手を繋いだまま、足を前後左右に動かした。いきなり火山に落ちかけたり、海底に潜ったり、ブラックホールに引き寄せられかけ、砂漠でスナシャチに激突され、どこかの女子更衣室に出現して変質者扱いされたりと、色々あったが、ようやく洞窟らしき空間に辿り着いた。
「こ、ここ、元のところかな・・・・?」
精神的に疲れたアストラががっくりと膝をついた。肩からはらりと誰かのハンカチが落ちる。香水の匂いのするそれを慌てて後ろに投げ捨てた。
「さあな。一瞬しか出入口を見ていないから、中に入ったかどうかもわからないから、とりあえず先に進んでみようか」
アストラは頷いて立ち上がると、レオの手を取って再び歩き始めた。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

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