もしも小話

アニメや特撮等、筆者の見たものの「もしも~」的な話を載せたりするブログです。無断転載禁止。

Man in the Mirror22

道場の中は、入学したばかりの新入生が集まっていた。まだ入学して三日目だ。もう周りと仲良くなっている子もいれば、まだ人見知りがして誰にも話しかけられない子もいる。
ゼノンが特に誰に話しかけることもなく、ぼうっと前の方を向いていると、横から誰かが話しかけてきた。
「今日から体術が始まるな」
「ああ」
(そうだな、養成所に入学して、何が目当てってそれが学びたかったからな!)
「先生ってどんな人だろうな?」
「さあな」
(ニグレド先生という人らしいが、今日は任務でいないらしい。代理の人の名前まではわからない)
「おまえ、ここに入る前に何か体術とか習ってた?」
「いいや」
(何も習っていないが、運動はいろいろしていたぞ)
「あーもー、いいよ。別の奴と話しよ」
すたすたと歩いて去っていく同級生の背中を、ゼノンは茫然と見送っていた。
(まだ言葉を口にする前にそんなに質問をされても困るのだが)
あと一分でチャイムが鳴るという時になって、道場の出入口が、そろりと開いた。小柄な人影が辺りを伺いながら、そ~っと入ってくる。
「良かった。まだチャイム鳴ってなくて」
その人物は道場の空きスペースを探してきょろきょろすると、ゼノンの傍にやってきた。
「あの、ここ空いてますか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
軽く会釈をして、道場の上座を見る。ゼノンは思い切って自分から話しかけてみた。
「君は同じクラスのメビウスだな」
「え? あ、そ、そう! 凄い、もう全員の顔を名前を憶えたの? ごめんなさい、僕はまだ憶えきれていなくて・・・・・・あ、あのなんて名前?」
「気にしなくていい。私はゼノンという」
ゼノンはメビウスを好ましい人物だと感じた。このまま友人第一号になってくれるかもしれない。
「よろしく!」
握手をしようと手を差し出したメビウスの背中に、強烈な攻撃が入った。
「うぐっ・・・・!」
「おう、間に合って良かったぜーーー!」
よろけたメビウスを慌ててゼノンが支えた。メビウスの背中に、レッド族の少年が乗りかかっている。
「君はマックスだな」
「お、すげーな。もう名前憶えてるんだ。おまえは?」
「私はゼノンだ」
「おう、よろしくな!」
ゼノンが「よろしく」と返す前に、マックスは自分が下敷きにしたメビウスを見下した。
「で、おいメビ。おまえ何倒れそうなんだよ」
「げほっ・・・だって今マックスが・・・・・」
メビウスの言葉を最後まで聞かず、マックスはすぐにゼノンの方を見てニヤリと笑った。
「今いーこと聞いてきたんだ♪ この格闘技の先生に、ウルトラ兄弟が来るらしいぜ」

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テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

天から来た勇者2

惑星ムッティの夜空は美しく晴れ渡り、星々の瞬きを余すところなく、空を見上げる者に伝えてくれた。
「きょうのおそら、とくべつきれー!」
焚き火を囲んだ夕食が終わり、空を見上げた小さな男の子のニーニャが声を上げた。その場で最年長の男の子のロイテが、ニーニャの頭を撫でて同意する。
「星が、雨にぬれた葉っぱみたいに光ってらあ」
まるで、勇者の伝説の夜空みたいだな」
ロイテより少し年下のユーバはちょっと得意になって知識をひけらかした。
「ゆうしゃのでんしぇちゅう?」
ナジェもユーバと一緒になってニーニャを見降ろす。
「なんだニーニャ、知らないのか? 勇者様のこと」
「う・・・うん」
ロイテはニーニャの頭に手を置いたまま説明した。
「大昔から伝わっている伝説があるんだ。星が危機に陥った時、勇者様が天から降りてきて、救ってくれるって・・・・」
その場で唯一の女の子のアマタが再び星空を見上げる。
「丁度こんな星が綺麗な夜には」
普段はおとなしげなプエルはその話に興奮して、両手を大きく広げた。
「すっげー強ぇえんだぜ、勇者様って! オレのじーちゃん言ってた!」
「ガーゴイルより?」
「もちろん!」
ロイテはそう言ってニーニャの頭をぐりぐりと撫でた。
「わ~!」
ニーニャが更に話を強請ろうとしたとき、凛とした少女の声がそれを叩き落した。
「伝説なんかに頼っちゃダメよ」
「メーテ」
その場にいる誰よりも年上で栗色の髪を両肩にお下げに編んだ少女は、まだ14歳のメーテだった。
「本当に頼れるのは、伝説なんかじゃなくて、自分自身の力なんだと、胸に刻んでおきなさい」
「は~い」
幼い子供たちは突然の会話の中断に気を悪くすることもなく、メーテに従う。メーテは彼らの姿に慈母のように微笑んだ。
「さあ、もう寝る時間よ。明日も早いわ」
「はーい!」
ロイテが仲間たちを振り返る
「今日の見張りは?」
「「ボクだよ」」
ナジェとプエルが同時に手をあげる。困ったように互いに顔を見合わせたが、やがて年上のナジェが決定を下した。
「僕が先で、プエルが後」
「そう、お願いね、ナジェ、プエル」
メーテは二人の頭を撫でると、ニーニャとアマタの手を引いて、寝ぐらとしている洞窟へと戻っていった。
「任せといて!」
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Man in the Mirror21

「ちょ、ちょっとレオ兄さん!」
慌ててアストラがレオの腕を引っ張ったが、もう遅い。
「いいのか? レオ」
「それよりも、教えた経験はおありですか?」
「地球に居た時、スポーツセンターでインストラクターをしていたんだ。柔道とか空手も教えたことがあるよ」
タロウは関心したように調子っぱずれの口笛を吹いた。
「そりゃあ凄いな。僕よりもよっぽど教える上手じゃないのか」
「かもしれませんよ」
80もくすりと笑う。
一方アストラは、レオを自分の方に引き倒して耳元で小さく罵倒した。
(レオ兄さん、また厄介事を引き受けて!)
(厄介事じゃないぞ。セブンは元々ここの筆頭教官だったって言うじゃないか)
(どこまでセブンさんに義理立てするの?)
(ずっとだ。受けた恩は一生忘れない。父さんもそう言ってただろう?)
父のことまで出されて、アストラは押し黙った。まだ何か言いたそうに口を尖らせている。
「それじゃあそろそろ行きますか。
それにしても、生徒達は喜ぶでしょうね。兄弟が二人も教えにきてくれるんですから」
80は目を細めて笑うと、立ち上がる。タロウもそれに合わせて立ち上がったので、レオ兄弟も慌てて席を立つ。
「生徒達は、俺達の事を知っているんですか?」
「ええ。ウルトラキーの事件の直後に兄弟になったと言われて。まだ新米だった私は、あなた方に憧れていましたよ」
80から向けられる尊敬の眼差しに、レオとアストラは顔を赤くした。

廊下の角をこそりと動く影があった。教官室から聞こえる会話を拾っていると、ドアが開いた。影は慌ててその場を離れていった。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

天から来た勇者1

目の前には広い草原があった。芝生ほど整ってはいないが、緑の短い絨毯が風に柔らかく揺れている。
「・・・・シリアス」
優しい女性の声がした。
「何者です?」
咄嗟にシリアスは背後を振り返った。腰のホルスターに手を添えて。
「シリアス」
枝葉を大きく伸ばした、その樹に見覚えがあった。小さく白い花をつけるその樹をとても気に入っている人がいた。こんな風に晴れた日には、か細い体を木に寄りかからせて、自分と兄が遊ぶのを、そこから眺めているのを、何より好んでいた。
「ああ・・・・」
樹の下で、自分と同じ色の髪をそよ風にたなびかせている人を見つけて、シリアスはため息をついた。
「会いたかったわ」
シリアスは子供のように走り出す。そして優しげに微笑む女性の前に膝をつき、その胸に倒れこんだ。
「ああ、母上・・・・・」
ドレスから、ツルバラの香りがした。



くすくすくすくすくすくすくすくす・・・・・・
・・・・・・・私は惑星ミラダイス。訪れる旅人の願いをかなえる・・・・・・
やっとあなたの願いをみつけたわ・・・・・・・
くすくすくすくすくすくすくすくす・・・・・・



ガバッとシリアスは跳ね起きた。
「っ・・・・」
自らの忙しない息遣いに困惑する。
今、何があったのだろうか? 
顔をあげてみても、常夜灯の薄い光が浮かび上がらせるのは、戦艦の内部にしては不必要な程の広さと豪華さを持った寝室だけだ。
             くーん
足元のバスケットから抜けだした愛犬のレイザーが、心配するような鳴き声をあげる。
「大丈夫ですよ、レイザー。たぶん、夢でも見たのでしょう」
シリアスはベッドの上から手を伸ばすと、レイザーの鼻先をそっと撫でた。

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テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror20

タロウとレオが主に話をし、アストラがそれに質問するような形式の会話が続く中、教官室のドアが控えめにノックされた。
「開いてるよー」
「失礼します、タロウ兄さん」
一礼して入ってきたウルトラマンの姿に、またレオは少しだけ息を飲んだ。地球にいる間に一番最後に見たウルトラマンだ。
「ああ、お邪魔してすみません」
「いや、いいよ。
80は話し聞いてるだろ?」
「ええ、レオ兄さんとアストラ兄さんですね」
アストラは、微妙に口の辺りを曲げた。『レオ兄さん』と他人が言うのを聞くのは変な気分になったし、『アストラ兄さん』と言われるのは更に心外だった。
「80と申します。よろしくお願いします」
「ああ」
レオが差し出された手を握り返すと、アストラも渋りながら握手をした。
「80も何か飲むかい?」
「そうですね。それじゃ、緑茶いただけますか?」
タロウが緑茶用に適度に温度の下がったお湯で玉露を淹れてあげると、80は懐かしそうに湯呑を手に取った。
「いいですね、こういうの。職員室を思い出します」
「だよな」
「え? 職員室?」
レオが思わず聞き返す。職員室なんてトオルの付添で行ったことぐらいしかない。
「学校の職員室て、放課後に行くと先生がよくお茶とか飲んでたじゃないか。僕なんかよくお煎餅とかもらったよ」
「タロウ兄さんがですか? そんなに昔から地球に?」
「正確に言うと、光太郎の記憶だけど。あいつの子供の頃の記憶だな」
「80さんもその、地球の職員室に?」
「はい、いました。中学校の教師をしていたんですよ」
レオはしきりに、アストラはまだよくわからないまま、「へー」と相槌を打った。
「80もこれからはここにおいでよ」
「そうですね。お邪魔させてもらいます。
あ、それで今日の用件なんですが・・・・・」
80はプレートを出した。
「1年生の次の時間、基礎格闘技の先生が緊急の任務が入ってしまって、いないんですよ。それで、代理講師のリストを持ってきたんですが、誰がいいのか相談したくて」
「緊急の任務ってなんだよ」
タロウはプレートを受け取ると、リストをチェックし始めた。
「うわ、今すぐ動ける人って、もうおじいちゃんだぞ」
「ダメですかね?」
「歳よりの冷や水なだけだよ。どうするかなぁ」
コーヒーを飲み終えたレオは、二人の会話に加わった。
「今日だけなんですか? 格闘技ぐらいだったら、教えられますけど」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

2000Hit ありがとうございます!

気がついたら、カウンターが2000超えてました。

ありがとうございます!!


毎日このブログを見に来てくれている人がいるんだと思うと、とっても嬉しいです!
これからもネタを上げていきますね~!!

4コマさん>いつも拍手、ありがとうございます! ゾフィー兄さんはねえ、別に怖い顔はしてないんですよ。しかし猫は幽霊が見えるといいますしねえ。あれ、何が幽霊なんだ?
Mirrorに関しては、アストラの補完も色々考えていきたいと思っています。

テーマ:小さなしあわせ - ジャンル:日記

チェシャキャット27

「だって隊長と一緒に行けるんだろ?! ネコはおまえに任せるから、オレ、隊長と話したい!」
「マックス、君だけ隊長と話をするのは不公平だ」
「な? 隊長から連絡あったら教えろよ?」
「う、うん」
「おーおー、ゾフィー兄さん、大人気だなー」
「そりゃ隊長だもの」
「歴代最年少ですからね」
タロウはマックス達のやりとりと、横で勝手なことを言っているレオ達の声に、メビウス達の方へと行く。
「だったら私の家においで」
「え?!」
「ええっ?!」
「マジ?!」
「た、タロウ兄さん?!」
「いいの?!そんなこと言って?!」
「何言ってるんですか?!」
驚く周りに、特に気にした様子は見せない。
「別にいいだろう。今はテスト休みだし、ゾフィー兄さんなら、うちにだってよく来るし」
「やったー! 教官の家、行く行く! 今日?」
「今日はもう帰りなさい」
80が渋い声を出した。
「はーい。
じゃあ、明日レオ師範に映画に連れて行ってもらった帰りに寄りまーす」
「おいこら、何時の間に勝手に決めたんだ?」
「まあいいじゃない。じゃあ僕がゼノンの分を奢るから、タロウ兄さんはメビウスの分ね」
「あのな。まあ、いいけど」
「いいんですか?」
メビウスが心配そうにタロウを見上げた。
「ああ。それに、ネコはいないけど、うちにはウルトララビドッグがいるから、見においで」
「本当ですか?! 僕、ウルトララビドッグも大好きです!」
「じゃあ決まりだ」
タロウは、目を輝かせるメビウスの頭を上機嫌で撫でた。
「さてと、それじゃ、行きますか」
80が気を取り直して行った。
「行ってらっしゃい。って何処へ?」
「何処って、所長室に決まってるじゃないですか。飼い主が見つかったって報告にいかないと。
それに、いくら修理したからって、器物破損の報告書だって提出しないといけませんよ」
「「げっ!」」
タロウとレオはその場で叫んだ。
「あー・・・あははは・・・・・」
乾いた笑いを洩らすレオの横で、タロウは慌ててメビウス達を腕に抱きこんだ。
「ほらほら、映画行こう、映画! 今日! 今すぐ!!」
「あ、ちょっと! タロウ兄さん?!」
「ほら、 マックスもおいで! 全員奢るから!
80、後は頼む!!」
「な、何言ってるんですか! ちょっと! タロウ兄さん!!」
「ああ、タロウ兄さん?!」
タロウは80の言葉を聞かず、そのまま教官室から逃げだした。レオとアストラがその後を追いかけてくる。メビウスはわけがわからずにタロウを見上げるばかりだ。
「え? え?」
「やったーー! おごりーーー!」
「いいのか? タロウ兄さん」
一緒に走りながら、レオが聞いた。
「あの報告書、どうせ回り回って兄さんの所に届くんだ。後で絶対に『なんで動画が入ってないんだ』とか言ってくるに違いないんだよ! そんなの所長に出せないって!」
「人に仕事を押しつけないでください!!」
80が後ろを追ってくる。タロウはメビウスとゼノンを抱えると、更にスピードアップした。
「もうテスト休みだからーーー!!」


                         えんど
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テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror19

アストラは、香ばしい馨のする黒い液体を見つめた。
「これが、こおひい?」
「そうだよ」
「ニオイは悪くないけど・・・これ、毒じゃない?」
アストラはコーヒーの水面を嫌そうに見た。
「じゃあミルクいるかい?」
タロウはコーヒーミルクを出してくると、アストラのカップの中に入れた。黒いキャンバスに、マーブル上に白い線が流されていく。
「・・・泥水・・・・」
「いいから飲めよ!」
業を煮やしたレオが無理矢理アストラの口にカップを押しつけた。
「うぐっ!」
熱い液体が口に当たり、わずかに中にしみて入る。思い切って口を開くと、口辺りの良さと、甘味と、渋味と清涼感と、複雑に混じった味が流れてきた。
「・・・・・・・」
「どうだ? 不味くはないだろう?」
レオの得意そうな表情に、アストラは少しだけ頬を赤くしてそっぽを向いた。
「僕はもっと上品な味の方がいいけどね。これ、強すぎない?」
「じゃあ紅茶かな。でもコーヒーの方が味が強いから、今じゃなくて次に飲んでごらんよ」
タロウは自分のカップを少し高くあげると、ウインクした。

チェシャキャット26

「隊長・・・・その、この人、秘書、なんですよね?」
「もちろんだとも。有能さと面白さを兼ね備えた、最高の秘書だ」
他の秘書の人も、同じ様なんだろうか。メビウスはタロウの言うところの「勤勉と有能さが忠誠の服を・・・・」という件を思い出した。
「でも・・・でも! ああ、隊長やっぱりご遠慮いたしますわ。ナフタリが妬きますし」
ようやく自問自答の迷路から抜け出たレピは、抱えたナフタリをゾフィーの方に向けさせる。
「妬かせておけばいいだろう。後でより甘えてきてくれるぞ」
「まあ、隊長ったら・・・・」
レピの腕の中で、雰囲気を感じ取ったナフタリがゾフィーにガンを飛ばす。
(ひっかかれるぞ)
タロウがかなりの期待を込めて見守っていると、視線を合わせていた一人と一匹の様子が変化していった。具体的には、ナフタリが次第に大人しく、だんだんレピの方に逃げるように顔を背けていった。
「どうやら警戒を解いてくれたらしい」
「流石ですわ、隊長」
レピがうっとりと頬を染める。
(いや、違うだろ)
(明らかに怯えてるって!)
(何やったんだ、ゾフィー兄さん?!)
(レピさん、そこは見とれるところじゃないんですよ!)
「すげえな、流石隊長!」
「教官達でさえ圧倒した凶暴なネコを、睨むだけで威圧するとは・・・・」
「マックスもゼノンも違うから」
感心する二人に冷たく、だが小声で言うと、メビウスはナフタリを見つめた。レピの胸に擦り寄って、助けを乞うかのように時折彼女の顔を見上げる。
ゾフィーはすぐにメビウスの様子に気付いた。
「レピ、近いうちにまた寄らせてもらうぞ。ネコを見にな」
と、メビウスの腕を引っ張ってレピの方にやる。
「隊長?!」
ゾフィーは見上げるメビウスの前で、再び扇を開いて笑ってみせた。
「あ、あの・・・お邪魔してもいいですか?」
「ええ、大歓迎よ。何時でも来て」
レピは腕を伸ばすと、ナフタリごとメビウスを抱きしめた。
「・・・・・」
その光景に、タロウはなんとなく面白くないものを感じる。
「では、行くぞ」
「はい。
皆様、お世話になりました」
レピは深々と頭を下げて、退室するゾフィーに追従した。
メビウスやマックス、ゼノンは、元気に手を振り、教える側は軽く会釈をした。
「行っちゃったな・・・・・」
少し肩を落としてメビウスが呟くと、マックスがその肩に腕をまわす。
「メビ、あの人の家に行く時、オレらも行くから」
「え?」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror18

運送業に汗を流し、荷物をあらかた運び終えると、タロウはできたばかりのキッチンへと行った。レオも後をついていく。
「何にする? コーヒーと紅茶と緑茶とジャスミンティーがあるけど」
「じゃあコーヒーで」
「OK。アストラは?」
「んー・・・僕はいいよ」
インスタントコーヒーの瓶を見てゲンの姿になったレオを見て、アストラは声のトーンを落とした。光太郎の姿になったタロウは紅茶の缶を出して、ティーポットにお茶っ葉を入れている。
「え? なんで? この間ゾフィー兄さんの部屋で飲んでただろ?」
「んー・・・・」
生返事をするアストラを、ヤカンに水を入れながら光太郎は眺めた。
「君、ひょっとして擬態できないのかい?」
返事をしないまま、ぶすっとキッチンの入口に立っていたアストラは、二人に背を向けた。
「アストラ!」
ゲンは慌ててレオの姿に戻ると、アストラの肩を掴んだ。
「アストラ、すまない。つい・・・・・」
「いいよ。レオ兄さん。地球に、いたかったんだろ?」
「しかし、お前とも一緒に・・・・・」
「いいってば! こおひいでもなんでも、飲みなよ」
「じゃあ、アストラも飲めばいいじゃないか」
タロウが二人の間に割って入った。
「もうちょっとお湯がわくからさ。
擬態できないんだろ? ごめんごめん。でも飲むぐらいならできるだろ? 付き合ってくれよ」
タロウはそう言うと、二人をまだ荷物の置いてあるソファーの方へと押しやった。
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チェシャキャット25

タロウは底に仕掛けがしているシルクハットを横目に、バーコードハゲのカツラを眺めると、いきなりブルーレーザで小包ごと燃やした。
「うわっ!」
「いきなりなにするんですか!」
「あ~あ、全部燃えちゃって・・・・」
消し炭が微かに掌に残る。
「レオ、おまえは、この鼻付きメガネからチョンマゲとハゲヅラの三連コンボでセブン兄さんの真似をしろとか言われたいのか?」
「うっ」
おおとりゲンは、そんなことできない。
「80は、こんなカツラを被っているところをユリアンに見られたいのか?」
「そ、それは・・・・」
矢的猛もそんなことはできない。
もちろん、タロウもメビウスの目の前でバーコードになどなるつもりは毛頭ない。東光太郎には絶対にできない。
「いいか、これで悪の根を絶ったんだ」
「何が悪の根だ」
ペン! と閉じた扇がタロウの頭を叩く。
背後からかかった声に、タロウは悲鳴をあげて飛び上がった。
「うぎゃわおうわ?!」
「何を勝手に燃やしている? せっかく送ってもらったものを」
「どう見たってゾフィー兄さん限定のワイ・・・・・ふぶっ?!」
警備隊員に相応しくない言葉を吐くタロウの口を、咄嗟に80がふさいだ。
「いや、ゴキブリが混じっていたんです!」
「ゴキブリ?」
「不衛生な生物です! 地球では第一級排除生物として指定されています!」
「梱包途中に紛れてしまったんだと思います! 多分!」
言動の怪しい弟達を目を細めて順繰りに眺めると、長男は後ろを振り返った。タロウ達はほっと胸を撫で下ろす。
「レオ兄さん、ゴキブリって何?」
「しっ! 後で説明するから」
「ではレピ。戻るとしよう。送っていく」
「え」
ナフタリを撫でていたメビウスの手が止まった。
レピはゾフィーの言葉に、まぁと片手を頬に当てる。
「そんな、わざわざ隊長に送っていただかなくとも・・・・ああ、でもせっかくの隊長との二人っきり。でも、そんな、もう夫の居る身ですし・・・でも、隊長と・・・・ああ・・・私ったらどうしたら・・・・」
「あの・・・・」
メビウスが一人芝居のように「でも! でも・・・」を繰り返すレピから、少し身を引く。
「どうだ、彼女は面白いだろう?」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror17

レオとアストラが光の国に来て数日が経った。その間に身体能力の正式な記録を作り、隊員の規約や、警備隊の設立経緯、銀河連邦政府内での立ち位置を聞いたりと、結構充実した日々を送っていた。二段ベッドが分離するまで三日かかったが。
今日は宇宙警備隊員を育成する養成所に来ている。タロウの言っていたように、必須単位の取得のためだ。必要能力は基本的に訓練で取得できるもので、生まれつきどうしてもできない能力は、それを補うアイテムがちゃんと用意されている。
ゼブルンに案内され、受講手続きを終えた二人は、校内を探検がてら、タロウの教官室へと向かった。今日は寮に帰る以外にすることがない。
タロウの教官室の前の廊下には、どっちゃりと教材や資料やらプレートが乱立してた。せわしなくタロウが部屋を出たり入ったりして、荷物を入れている。
なんといって声をかけていいか考えあぐねていると、気づいたタロウの方から声をかけてくれた。
「レオ! アストラ! どうしたんだ?」
「え? あ、ああ・・・いや・・・手伝おうか?」
「いいのか? 助かるよ」
タロウはそういうと、荷物を抱えて部屋の中に入る。レオとアストラは、その辺の荷物を適当に持ち上げると、その後に続いた。
「これ、何処に置くんですか?」
「その辺でいいよ」
部屋の中も荷物があふれていた。床の上がゴミやほこりだらけになっている。奥の方は更にとっちらかっていた。
「何やってるんですか?」
「工事だよ。リフォーム。昨日やっと終わったんだ。キッチンを作った」
「キッチン?!」
「せめてお茶ぐらい地球のを飲もうと思ってさ。
レオもアストラも、明日から養成所に来るんだろ? 終わったら寄っていきなよ」
とりあえず、荷物入れ終わったら飲もうか? とタロウはホコリだらけの顔で笑った。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

制作発表!

やっとウルトラ映画の製作発表がされましたね!
公式HPも充実し始めて嬉しい限り。予告映像は燃えるよーーー!!

しかし、製作発表で、黒部さんが、役者としてウルトラはこれが最後と、言われたのが寂しい。
イベントや雑誌の取材などはまだ受けてくださるでしょうが、とても寂しい気持ちでいっぱいです。
映画の舞台挨拶を見に行きたいなあ。

テーマ:つぶやき - ジャンル:日記

拍手、ありがとうございます!

4コマさん>最近ゾフィー兄さんだらけですみません。どんどん兄さんへの愛が深まる一方!
弟に関しては大甘で素でボケて、でも裏で腹黒く考えたり、苦労したりと、多彩な兄さんが大好きです!

テーマ:小さなしあわせ - ジャンル:日記

MAKING MY BODY11

「でやっ!」
    ひょい
「しかしおかしい」
「せやっ!」
    ひょい
「絶対におかしい」
「へやっ!」
    ひょひょい
「大体、タロウとエースは私が子供の頃からきちんと躾をしてきたのだ」
「てやっ!」
    ひょいひょい
「それがいきなり私を除け者にするなんて絶対におかしい」
「でおりゃーーーー!!」
    ふわり
「まさかセブンの入れ知恵か?!」
ぶんっ! と博士の腕が空を切る。
「うるさい!! いいから、いっぺん当たれ!!」
博士の蹴りを見せつけるかのようなバック転でよけ、ゾフィーは優雅に地上に降り立つと、両手を腰に当てた。
「当たったら君のためにならないだろう。組手なんだぞ」
「組手だから、おまえがちゃんとにガードしないといけないんだろうが!」
「ガードするほど切羽詰まったスピードでもないぞ」
何気ないゾフィーの一言に、博士の表情がピクリと動いた。
「なんだと・・・・・・?」
「あと、フォームが綺麗すぎて次の動きが完全に予測できる。理想としては、もっと早く、そのままのフォームで、相手の予想を裏切ることだ」
「おい、注文が多すぎるだろ」
ギンと博士が眼光をするどくした瞬間、ゾフィーは地面を蹴った。刹那、博士の腹の僅か1センチのところにゾフィーの拳が止められる。巻き起こされた風が、慌ててゾフィーの追いついてきて、博士の体の脇を駆け抜けていった。
「これぐらいはしないと」
にっこりと笑うゾフィーを見て、博士は養成所に居た頃を思い出した。
「だからお前のことが嫌いなんだ・・・・・!」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

チェシャキャット24

レピはぺこぺこバッタの様に何度も謝った。
「すみません、すみません!」
「いやもう、大丈夫ですから。気にしなくても」
「でも、本当に・・・・なんとお詫びしてよいのか・・・・申し訳ありません、すみません!」
あまりにも謝り倒す彼女の姿に、メビウス達は、見ていてなんだかおかしくなってきた。
(わ、笑っちゃいけないんだけど・・・・)
(あんなに謝るとは思わなかったな)
(しかしそろそろ飽きてきた)
「レピ、そろそろいいだろう」
ゾフィーの一声に、レピは最後にもう一度レオに頭を下げた。
「さて、程よくレオも噛まれてレピが謝ったことだし」
何処から取り出したのか、日の丸の扇を取り出したゾフィーは、バッとそれを広げて扇ぐ。
「え、俺噛まれるの前提?」
「本当はタロウが良かったのだが」
「ぶっ」
マックス達も思わず吹き出し、慌てて口を塞ぐ。そっと上目遣いに辺りを伺ったが、幸い、隊長や筆頭教官は視界の下にいる訓練生に目を向けなかった。
「なんで私が! それよりそれはなんですか!」
「ハヤタから送られた土産の中に入っていた。このオウギというのは他の星でも使っているのを見たことがあったから、使い方はわかるのだが、それ以外は見当がつかなくてな」
あえてゾフィーはハヤタと言った。ウルトラマン達4人が地球でヤプールを封印しているのは、トップシークレットだ。
「ほれ」
封を破った小包をタロウ達の方に放って寄越す。
「これは・・・・」
「なんでハゲヅラが・・・・チョンマゲとか、バーコードとか・・・・」
「レオ兄さん、これはウルトラアイの玩具?」
アストラが鼻付き眼鏡を持ち上げる。
「やめろ、笑いそうになるだろ」
「宴会の余興で使ったのを、処分がてらこっちに送ってきたんじゃないんですか?」
80はイカサマのトランプを持ち上げ、また元に戻した。
次兄の考えることは、ゾフィー同様、イマイチよくわからない。
タロウ達の手元が覗けない訓練生達は、ちょっと顔を見合わせると、二手に分かれた。
メビウスはレピの側に近寄る。
「あの、撫でさせてもらっていいですか?」
「ええ。人見知りするこの子が懐いていたみたいね」
「はい!」
マックスは、ゼノンを連れてゾフィーの側に行く。
「あ、あの・・・・」
「ん?」
「その、隊長もさっきみたいな冗談とか言うんですね。なんか、もっと恐い感じがしてたから・・・・」
「私は面白い事や面白い人物が大好きだよ」
少し屈んで彼等の視線に合わせて微笑むと、ゼノンが一気に赤面する。
「た、たた、隊長・・・・!」
(騙されてる、騙されてるから!)
メビウスは、二人にどうやって警告しようか、ナフタリを撫でながら考えていた。
「ああ・・・隊長ったら訓練生にまであんな優しい言葉を・・・・す・て・き・・・・。
あらやだ、私ったら」
メビウスの正面にも、騙されている人がいた。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror16

「ふふふふふ・・・・・」
執務中、忍び笑いをするゾフィーに、秘書達は視線を向けた。
「どうしたんですかぁ、隊長~?」
「いやな、レオ兄弟の入隊祝いに二段ベッドを送ったのだ。今夜は兄弟仲良く寝ていると思うと、つい嬉しくなってな」
「そりゃー余計なお世話ってもんだと思いますがね」
イサカルがこっそり呟く。
「「ええ~? ダメですよ隊長~」」
ステレオでの声がゾフィーに反対した。
「ダメ? 何故だ?」
「だってレオさんとアストラさんは双子なんですから、ダブルベッドにするべきです!」
「そうです! ペシェとキルシュは、いつも一緒に寝てますよ」
「何ぃ?! そうだったのか?! いかんな・・・兄弟ならばよく事情を知っていたつもりだが、双子になると勝手が違うのか。うーむ・・・・しかしすでに用意してしまったし・・・・10年後ぐらいにダブルベッドを贈るか?」
黙々と下を向いて仕事をしていたディナが一度だけ顔をあげた。
「それこそ無用の長物でしょう。業者を呼んでベッドを分離させれば良いだけです」


「あの人ひょっとしてバカなの?」
アストラは辛辣な言葉を吐きだした。
「アストラ!」
レオが窘めるが、あまり意味はない。
「だってそうじゃないか。いい歳した男兄弟に二段ベッドなんて、普通考える?」
「隊長は三段まで使ったことがあると言ってましたからねえ」
ゼブルンの言葉を無視して、アストラはベッドの支柱に手をかけた。
「壊すよ」
「あ、多分無理ですよ」
カーン! と良い音がして、アストラは自分の手刀を抱えて床に蹲った。
「光の国で一番固い金属を使ってます。飛び降りたり、飛び跳ねたりして壊さないようにって」
「・・・ひょっとしてあの人、子供好きなのか?」
レオはアストラの傍にしゃがんでゼブルンを見た。
「はい。とっても。お二人が”弟”として来られるのを楽しみにしていましたよ。
でもこのベッドだめですか?」
「ダメに決まってるだろう!」
ゼブルンはしゅんと肩を落とした。
「模様も色々刻んであって可愛いと思うんですけどねぇ。仕方ありません、明日業者の人に頼んで、分離してもらいます」
「頼むよ」
今夜一晩ぐらいはいいかもしれないと、レオは二段ベッドを少しだけ優しげな表情で見上げた。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

チェシャキャット23

全員が凝視する中、レピは笑みを絶やさぬまま頷く。
「あ、その・・・すみません」
タロウは頭を下げた。
実のところ、ゾフィーの秘書達の顔と名前などまともに憶えていない。以前に隊長室でゾフィーに軽口を叩いたら、後でえらい目にあったので 、秘書室の人間には苦手意識が働いていた。
「まあ、おまえが戻ってくる前に結婚退職したから憶えてはいなくても当然だが」
「そうでしたか」
話を振られるかと、内心ビクついてたレオとアストラも、ほっと安堵の息を漏らす。隊長秘書室の人間は、この二人にしても苦手だった。尤も、レピにその様な雰囲気は見られない。結婚したからかもしれない。
「レピさんがエメラルドキャットを飼っていたとは知りませんでした」
養成所時代からも秘書室に出入りをしていた80が気さくに話し掛ける。
「主人のこの前の赴任先が、原産惑星のミクタムだったの。そこで仲良くなった人に譲っていただいたのよ」
「原種を飼っている者は少ないからな。最初に訪ねて正解だった」
「まさか隊長が自らお迎えまでしてくださるとは思いませんでした。躾の不行き届き、深く反省しております」
レピはナフタリを抱えたまま、深くゾフィーに頭を下げる。
「何、丁度暇だったところだ。構わん」
本当に暇だったのか怪しいところだ。
「あの」
メビウスは思い切った様子でレピに近づいた。
「このコ、怪我してたんです。だから・・・・」
「大丈夫です。リライブ光線で治しまし・・・ぐがっ!」
ゾフィーはタロウの足を踏みつけた。レピはタロウを一顧だにせず、メビウスに向かって微笑む。
「ええ。ダンにも厳しく言っておきますね」
「ダン?」
その名前に、レオが敏感に反応する。
「ええ。もう一匹エメラルドキャットを飼っているのですが、その子が『ダン』といいまして」
「そっか・・・おまえ、ダンに苛められたのか・・・・強く生きろよ」
レオはさっき引っかかれたことも忘れて、ナフタリの頭を撫でた。

      がぶっ

ナフタリはレオに噛み付いた。
「ぎゃあ!」
「レオ兄さん!」
「こら! ナフタリ!」
慌ててレピがナフタリをレオから引き離す。
「本当に申し訳ございませんっ!!」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror15

レオとアストラはオフィス街を抜け、ショッピング街の中でも住宅街に近いマンションに来た。
「ここが独身寮です。あ、独身ですよね?」
心配そうに見下ろすゼブルンに、二人は苦笑した。
「ああ」
「良かった。さあ、どうぞ」
促されるまま、二人はマンションの中へと足を踏み入れた。白を基調とした内装は極めて機能的だ。
ゼブルンはエレベーターに乗ると、最上階のボタンを押した。着いた先のフロアの廊下をしばらく行くと、やっとドアが見えた。
「ここです。どうぞ」
入った部屋はいきなり広かった。廊下や外見の無機質さとは裏腹に、趣味の良い内装だった。
室内の廊下を歩いてリビングに入ると、これもまたドーンと広がっていた。内装に合わせたインテリアも最上級のものだと一目でわかる。
「どこの高級マンションだよ?!」
レオは目を丸くした。
「これ、確か惑星レーテの高級家具・・・・」
アストラも見たことのあるものを見て、そーっと指でつつく。L77星にも輸入されていた家具だ。
「こんなに良い部屋でいいんですか?」
「大丈夫ですよ。もともと空きはここしかなかったので。あ、このフロアはウルトラ兄弟の方々限定なんです。お気になさらずに」
「兄弟って、それじゃ、他の部屋は・・・・」
「ちゃんと手入れしていますよ。セブンさんの部屋も。彼らは任務中なだけです。
あ、寝室はこっちです」
ゼブルンは笑顔でそう言うと、二人を案内した。
「「・・・・なんだこりゃ」」
「二段ベッドです」
目の前にどーんと現れた豪華な二段ベッドに、二人は目を点にした。
「隊長が、『兄弟なら二段ベッドだろう』と、わざわざ選んできたんですよ」



チェシャキャット22

「た、隊長?!」
ゼノンの声がひっくり返る。
「ゾフィー兄さん?!」
腕を後ろで組んだゾフィーが、勝手にタロウの教官室へと入ってきた。背後に一人、控える様な人影があった。
慌てて三人は敬礼の形を取った。逆にタロウ達の方が渋々といった感じでゾフィーに敬礼する。
「ああ、畏まらなくていい。そのネコの飼い主を連れてきただけだ」
「え?」
ゾフィーの背後に控えていた人物が、姿を露にする。清楚な雰囲気を称える、若い女性だった。
「ナフタリ!」

     にゃん!

ナフタリはメビウスの腕から身を捩ってジャンプすると、本来の飼い主の胸へとしがみ付く。
「ああ、ナフタリ、ごめんなさい! 放っておいて・・・・」
女性はしきりに甘えてくるナフタリに頬を寄せ、何度も背中を撫でた。
「ナフタリ・・・・」
メビウスはその光景を見て、今までナフタリを抱えていた腕を下ろす。腕にはまだ体温が残っていた。
一頻りナフタリを可愛がった女性は、教官室にいた面々に向かって頭を下げた。
「申し訳ございません、ご迷惑をおかけいたしました」
「いえ・・・・」
まあ迷惑をかけられまくったことに違いはない。
「それにしても、まさかこんなに早くわかるなんて・・・・」
「あっ!」
唐突に80が声をあげた。
「あなたはもしかして、レピさん・・・・?」
女性がその言葉に、にっこりと笑みを向ける。
「ええ。久しぶりね、80君」
「なんだ、知り合いか?」
「知り合いって、ゾフィー兄さんの秘書だった人じゃありませんか」
「ええ?!」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

チェシャキャット21

「もう少し、と言いましても・・・・」
そろそろ一回、所長の所に顔を出した方がいいかもしれない。それからテストの採点を・・・・と80の表情が如実に語る。
「じゃあ、80が報告に行けば」
「どうして私にばかり押し付けるんですか!」
呑気な筆頭教官に食って掛かる80を見て、更に呑気な訓練生達は「うわー、先生が怒ったー」と身を寄せ合った。
「そういや映画、どうしようか?」
「明日だってまだやってるよ」
「割引期間は過ぎたがな」
「なんだ、映画に行くつもりだったのか?」
レオが訓練生達の会話に参加する。どうせゾフィーの連絡が来るまで暇だ。
「はい。割引チケットが今日までだったので、テストが終わったら行こうって言ってたんです」
「どの映画だ?」
マックスがまだ持っていた割引チケットを差し出した。
「ああ、これか。じゃあ、明日でよければ、皆で行こうか」
チケットを覗き込んだアストラも提案した。次の任務があるまで、非常勤講師は待機状態だ。そして実技のテストは全て終了。要はこの双子も暇だった。
「本当ですか?!」
「師範の奢り?」
「それは嬉しいです」
「こら、それはちょっと図々しいぞ」
「いいじゃないか、レオ兄さん」
「こういうのは、奢ってもらってから喜ぶもんだ。前提にしてどうする」
「じゃあタロウ兄さんにもう一人分出してもらおうか」
5人はその提案に一斉に笑った。
「私がどうしたって?」
タロウは睨む80を放って、賑わう面子の方に顔を向ける。
「明日からのテスト休みに、皆で映画に行こうって話をしていたんです」
「教官も一緒に来てくれたら助かります!」
「助かる?」
「主にサイ・・・・」
「わーーー!!」
流石に堂々と『財布』というのは憚られて、慌ててメビウスはマックスの口を塞いだ。
「どうしたんだ? メビウス」
「え、えーとですね・・・・・」
(もう! マックスが変なこというから!)
(いいじゃん、奢ってもらうぐらい)
(良くないよ!)
「入るぞ」
二人のテレパシーは、勝手に開いた扉と、横柄な声によって中断された。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror14

レオとアストラがゼブルンに連れられて隊長室を辞すると、「お~い」とタロウが追いかけてきた。
「タロウ・・・・・さん」
「もう隊長のお話は終わったんですか?」
「あんな部屋何時までもいられないよ。寒くって仕方無い」
温度を下げていたのはタロウ本人なのだが、それにはちっとも気づいていない。
「これからどうするんだ?」
タロウは二人にではなくゼブルンに聞いた。
「とりあえず、お二人を寮に案内しようかと。それから、お二人の身体能力を見させていただいて、隊員規約と警備隊の条項についての説明とか。数日かかりますから、毎日少しずつ」
「ふーん」
「タロウ・・・・さんは?」
まだ少しぎこちない感じで、アストラが尋ねた。
「僕はこれから養成所に行くよ。教官室がもらえるから、すぐにでも教材とか集めておかないと、何教えるかわからないしさ」
「そうですか」
「頑張ってくださいね。セブンさんの後任なんですから」
ゼブルンのその言葉に、レオの表情が少し動いた。
「まあね。人に教えるのって向いてないと思うけど。
あ、そうだ。レオとアストラ」
タロウは良い事を思いついたと、ぱっと表情を輝かせた。
「警備隊員になるんだろ? ウルトラサインとか、わからないことがあったら養成所に来いよ」
「え?」
「あなたに教わるってことですか?」
「どうだろ? 隊員になってからの再履修コースがあるんだよ。新しくできた必須単位とかさ。それでOBもよく養成所に来るから、わからないことがあったらこっちに来いよ。あの部屋よりはマシだと思うからさ」
タロウは明るくそういうと、本部ビルの前で手を上げて別の方角へと歩いていった。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

拍手、コメント、ありがとうございます

yamiさん>メロスのべらんめぇ口調を見たら、風車の弥七っぽいのが浮かんできて。
兄さんも子供扱いできるようなキャラがいなかったので、少し保護者っぽい感じで。
イサカルは兄さんのことを、二人きりだと「ボーズ」、公衆の面前だと「隊長さん」と呼びます。
ウルトラの父は「旦那」w

4コマさん>獅子兄弟、翻弄されっぱなしです(笑)
でも多分、それぐらいでちょうどいいんじゃないかと。わだかまりを解くには何かないと、ですね。

テーマ:小さなしあわせ - ジャンル:日記

ダブルダイナマイト

内山先生のウルトラマンガ戦え!ウルトラ兄弟―ウルトラマンメビウス外伝超銀河大戦 (てれびくんデラックス 愛蔵版)
これでタロウとメビがダブルダイナマイトをしてくれます。師弟がそろってまあ可愛い!
特に吹っ飛んだ体を再生して、ぐたぁってなったところが、可愛いのです。

でもその後にウルトラキーを持っている兄さんの格好良さは尋常じゃありません!
この人ってなんでこんなに格好良いんでしょうねえ。TVじゃネタキャラだけど(笑)

そしてなんといってもエースと夕子の合体! ああ、再合体エピが見られるとはーーー!! 
「夕子ーーー!!」「星司さーん!!」
「「ウルトラターーッチ!!」」

昔の絵よりも少しがっちりとした感じになってますね。兄さん、もうちょっとウエストとか首細かったもん。
しかし、やっぱり
「ふっふっふっふ。しゃらくせえ、ヒッポリト星人・・・・」
というメロスに大笑いしちゃいましたよ(笑)


私が雑誌で見た、兄さんとメビがインペの軍団と戦う話は、いつ単行本化されるのかなあ。

テーマ:✿感想✿ - ジャンル:その他

チェシャキャット20

ゾフィーはナフタリの虚像の前足を取ると、ちょんちょんとタロウの角を触る。
「じゃあ、ご主人様を探してくるにゃん♪」
「気色悪い声出さないでくださいっ!!」
「ははは・・・・じゃあ、後で連絡する」
すうっとゾフィーの姿が薄くなっていく。
「余計な事はしなくていいですからねっ!」
思わず叫んだが、今頃ゾフィーは隊長室の仮眠室か何かで、腹を抱えて大笑いしているに違いない。
「何時も一言多いんだよ! このヘタレ! ファイヤーヘッド!!」
タロウは誰もいない空間で他にもあらん限りの罵詈雑言を吐くと、亜空間通信を解いた。


「それじゃあ、行ってきます」
「え?」
タロウが室内へと意識を戻すと、ナフタリを抱えたメビウスが80に肩を抱かれて扉の方へと向かっている。
「ちょ、ちょっと! 行くって何処へ!」
「今の話聞いてなかったんですか?」
慌てて立ち上がるタロウに、周りの者は訝しげな視線を送る。
「とりあえず、私が引率して迷子ペットセンターに連れて行きます。メビウスにしか懐いていないので、一緒に」
「いいよ。今、探してもらうように頼んだから」
「え?」
「ひょっとして、誰かとテレパシーで話してたんですか?」
「ああ。何でも屋さんに頼んだから、すぐにわかると思うよ」
「何でも屋さん?」
ナフタリを抱えたメビウスが小首を傾げる。マックスやゼノンは「そんな職業あったかな」とばかりに首を捻った。
「そう。何でもするのさ」
「そんな人がいるんですか。凄いですね」
レオやアストラ、80は、タロウが誰に頼んだかすぐに察しがついた。
「だからもう少し待とう」

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

チェシャキャット19

ゾフィーの言葉に、タロウはあからさまにうろたえた。
「な、何言って・・・・」
「それもメビウスにしか懐かなくて、おまえ達は嫌われ、引っかかれ、噛まれ、踏み潰され・・・・」
「ぐはっ!」
一連の出来事を目にしてきたようだ。あまりにも情報が早すぎる。
「そ、それだけわかっているなら、このネコの素性だって・・・・」
「今のは単なる推測だ」
「ぶっ」
ゾフィーはナフタリを持ち上げて、ぶらぶらと振り回した。
「おまえは、猫より犬派だからな。おまえが拾ってきたなら、その場でリライブ光線かけて、ペットセンターに預けてきてお仕舞いだ。
メビウスが拾ってきたから、「まあのんびりしていけ」とか言って過ごしていたら、巨大化されたと。まあ、そんなところだろう」
タロウは亜空間にも関わらず、ガックリと膝を着いた。
「とはいえ、飼い主はペットがいなくて気の毒だ。早く返してこい」
「ちょっ・・・兄さんだったらすぐにわかるでしょう?!」
「別に私が調べなくても、もっと簡単で手早くて、おまけに特典もついてくる方法があるだろう」
「は? ペットセンターに預ける???」
ゾフィーはタロウを気の毒そうに見た。
「なんですか」
「そんなことをしなくても、このネコと一体化して、記憶を見ればいいだろう」
「そんなことできますか!」
「私だったらするがね」
立ち上がって、「そんなことをするぐらいなのは兄さんぐらいです」と言ってやろうかと、喉まで声が出かかった。
「記憶を見れば飼い主も住所も一発でわかるし、メビウスには抱っこしてもらえるし」
「えっ?!」
「膝で寝ることもできるだろうな」
「ええっ?!」
「夜には添い寝もしてくれるかもしれない」
「ええええ・・・・・!!
ちょっとおおおおお、何考えてるんですかあああああああ!!!」
「できればマックスやゼノンも一緒がいいなあ。あの三人といると退屈しなさそうだし。まあマックスの場合は寝ている最中につぶされそうだから、やっぱりメビウスが一番いいだろうが」
「ゾフィー兄さんっ!!」
タロウの角の間でバチバチと火花が散った。
「やれやれ・・・・・」
それを見たゾフィーはわざとらしく肩を竦めた。

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

Man in the Mirror13

ゼブルンがレオとアストラに近づいてぺこりと頭を下げる。
その横で、シメオンがゾフィーにすり寄ってきた。
「隊長~。その人達、もうスカウト終わったんでしょ? だったらあたしは今日はもう上がってもいい?」
「どうかしたのか?」
「うん、今日頼んだエキストラに報酬払わないと~」
「エキストラ?」
アストラの口元が痙攣する。
「そうよん♪」
シメオンはアストラに向かってウインクをした。
「まあ私は構わないが・・・イサカル、彼女の直属の上司は君のはずだが」
「あっしも別に構いませんよ。あんたの今日のスケジュール、残りは向かいの会議室に移動するだけですし。
ディナ嬢ちゃん」
ディナは一瞬だけ渋い顔をしたが、すぐに「構いません」とそっけなく返事をして、再びプレートに視線を落とした。
「では、あとは報酬の内容次第だな。何をしに行くのだ?」
「うふふ・・・モ・デ・ルv 3人がカメラマンでー、5人がスタントマンでー、4人が悪役専用の役者さんだったの~」
アストラとレオの目が点になった。
「じゃあいいだろう」
「ちょっと! その人、秘書じゃないんですか?! いや、あの人の部下ならアンタの護衛じゃ?!」
「だが、聞いての通り、護衛の意味はあまりない」
「やっぱり要らないんじゃないか・・・・」
思わず呟いたタロウだが、ディナの視線に気づいて流石に口をつぐんだ。
「モデルて、悪質なのにひっかかってるんじゃないのか?」
レオがシメオンの前に立ちはだかる。が、そっとレオの脇腹をキルシュがつついた。
「大丈夫ですよ。シメオンさん、あっちこっちの美人コンテストで優勝いっぱいしてて、机の引き出しはスカウトの名刺とかでいっぱいなんです」
「私たちも身元はチェックしてますから平気です!」
「あのね、護衛が他の仕事なんてしている事がどうかしているんだよ」
レオの説明もむなしく、シメオンは「じゃあ行ってきま~す」と呑気な声を出して、隊長室を出て行った。
「「・・・・・・」」
「仕事を再開しなさい」
ディナの言葉にゼブルンがレオとアストラに近づいてきて、二人はようやく我に返った。


テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

チェシャキャット18

「まあ、とっとと迷子ペットセンターに連れて行くのが一番だな」
「ああ。もう引っかかれるのは勘弁だ」
今更ながら、アールグレイの香りを深く吸い込む。80は体に染み渡るような香りとは裏腹に、嫌なことを思いついてしまった。
「でもまあ、ペットセンターまた一悶着起きそうですが・・・・」
「知らなかったで済ませよう、もう・・・・」
飼い猫じゃなかったら、荒野の果てにでも捨ててしまいたい気分だ。
そこで、ふっとタロウは思い出した。絶対にペットセンターよりも早く飼い主を探し出せる情報網を。
すぐに亜空間通信を展開させる。


金色の空間が緩やかに流れている。外界とは断絶された、けれども質量も質感も感じられる、テレパシーの最上級技だ。
「ゾフィー兄さん」
少し離れたところで、ゾフィーが顔をあげた。多分執務中だったと見られる。この通信にすると、パントマイムのように、机も椅子も見当たらない。
「タロウか。おまえ、どうしてもっと早く連絡を寄越さなかった?」
タロウには次のセリフの想像がついた。
「こんな面白いことを私に知らせずに。この兄不幸者」
「なんだって毎回兄さんに笑いを提供しなくちゃいけないんですか。弟不幸者」
「わかった。じゃあな」
すうっとゾフィーの姿が薄くなる。
「わああ、ちょっと! タンマ、タンマ! 今の無し!!」
タロウが慌てて止めると、ゾフィーの姿が再び濃くなる。
「兄さんだったら、このネコの飼い主わかるでしょう?! 探してくださいよ!」
「なんだ飼い猫だったのか?」
タロウはナフタリのイメージを抱いてゾフィーに渡した。本物のナフタリと全く同じ重さと柔らかさだ。ただし、暴れたりはしない。
「てっきり野良猫を拾ってきて、巨大化させて遊んでいたと思ったのだが」
「誰がこんな凶暴なネコで遊ぶもんですか」
「おまえはしょっちゅうエースとそんなことをして遊んでいただろうが。
それにしても、たかが飼い猫に踏み潰されるとは、情けない」
「飼い猫だから気を使ったんですよ!」
ゾフィーはナフタリの首輪を見ると、名前を見つける。
「原種のエメラルドキャット。名前はナフタリ、か」
「それだけわかっていれば、兄さんには充分でしょう?」
早々な厄介払いを願っているタロウを見て、ゾフィーは一言を放った。
「このネコ、メビウスが拾ってきたんだろう」
「ぎくっ」

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Man in the Mirror12

タロウとディナの間には、火花は飛ばなかった。タロウが睨みつける中、ディナはプレートに目を落として仕事を再開したからだ。
「おい! 何とかいったらどうだ?」
「キルシュ、白鳥座支部からのブラックホールの発生状況の報告はどうなりました?」
「はぁい、今データ送ります~」
ダン! とタロウがディナのデスクを叩いた。
「おい! 聞いてるのか?!」
レオがそっとゾフィーの腕をつついた。
「放って置いていいんですか?」
「ディナが怒ると怖いからな」
アストラは胡乱な視線をゾフィーに向けた。
「まあ、その辺にしといてくださいよ。タロウ坊ちゃん」
不意に聞こえた声に、タロウは振り返った。
「え?」
一人で駒を並べていた人物が顔をあげる。
「イサカル!」
イサカルと呼ばれた人物は席を立つと、タロウの側に来た。右腕がない。
彼はもともとウルトラ忍者部隊の長だったのだが、任務の最中に右腕を失ったのを切っ掛けに引退していた。
「坊ちゃん・・・・?」
アストラが微かに出した声をゾフィーが拾う。
「タロウの父の部下だった男だ。あいつが生まれる以前からのな」
「そうですか」
レオが代わりに返事をした。
「護衛って言っても、あっしみたいな役立たずが飾り程度にいるだけで。隊長に箔をつける程度でさぁ」
イサカルはタロウの頭を撫でるかのように、にっこりと笑って見せた。
「イサカルが役立たずだなんて、まさか!」
「最近、好きなだけ怠けてますからね。まあ実戦じゃ役に立たんでしょう。人手不足ってのは本当ですや」
「まあ、イサカルがそういうなら信用するけど・・・・・」
上がりかけていた気温が再び下がる。
「じゃあ、筆頭教官の仕事、頑張ってくださいや」
「うん」
タロウが素直に頷くと、ゾフィーはやれやれと肩をすくめた。
「まあ素直に受諾すれば当面はいいだろう」
「いいんですか?」
レオが少し心配気味な声をかけた。
「苦労するのはこれからだ。
さて、君達の方だが、今日はもう下がっていい。これからのことはゼブルンに聞いてくれ」


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チェシャキャット17

マックス達は、階段の踊り場でタロウ達に捕まった。
「まったく、逃げ足が速くてどうするんだ」
「へへ・・・・でも教官たちも逃げられたでしょ?」
「こいつ!」
タロウがマックスを、レオがゼノンを、それぞれ軽く小突く。どっちも二人を助けようとしてくれたのだ。
「でも、どうしましょう? すぐに所長のところに戻りますか?」
「そうだなぁ・・・・」
「もう少し冷えてから戻った方がいいと思いますよ」
追いついた80が口を挟む。
「君も追い出されたのか」
「もうカンカンでした」
メビウスは軽く溜息を吐くと、腕の中のナフタリを撫でた。
「ナフタリ、ダメでしょ? どうしてそんなに攻撃するの?」

    にゃあ

ナフタリは「全く身に覚えがありません」とばかりに鳴くと、メビウスの胸に顔を押し付ける。
「とりあえず、お茶でも飲むか」
自然と足はタロウの教官室へと向いた。タロウが再度お湯を沸かし、紅茶を入れる。
「でも、こいつメビにしか懐かないようなぁ」
「全くだな。救出は私とマックスも手伝ったのに」
待っている間にナフタリに手を出したマックスとゼノンは、早速引っかかれた。
「マックスはレッド族だから、レオ師範と間違えたかもしれないよ」
「では、私はどうなる?」
「うーん・・・・」
「おまえだって赤の比率高いだろー」
「それを言ったらメビウスだって赤いだろう」
「うーん、お腹や胸のあたりは、メビウスの方が銀色の割合が多いからね」
アストラがやんわりと口を挟んだ。
「案外ゾフィー兄さんには懐くかもしれない」
「それをされたら、結構腹が立つんだけど」
タロウは全員の前に紅茶のカップを置くと、一番最初に啜った。

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