もしも小話

アニメや特撮等、筆者の見たものの「もしも~」的な話を載せたりするブログです。無断転載禁止。

あなたの為なら壊します37

キルシュとペシェは第二講義棟の中を歩いていた。上級生の教室が並んでいるので少々怖いが、仕方がない。
今日の使命が果せたら、レピが特別にカステラというお菓子を作ってくれるらしい。擬態の練習は、本当はもう少し先の学年になってからなのだが、隊長室で家庭教師をしてもらっているので、早々に擬態もできるようになった。今では、普段からお菓子が食べれないのは、意外と悲しい体質の種族なのかもしれないとさえ思ってしまう。
「先輩の教室、3階だっけ?」
「うん。階段の近くの教室」
高学年の方が授業時間が長い為、まだ廊下には誰もいない。たまに声のでかい先生の声が壁越しに聞こえてくるぐらいだ。双子は、授業が終わる数分前を狙って教室の前に来ると、チャイムが鳴るのを待った。
やがて終礼の鐘が鳴ると、先輩たちがぞろぞろと教室から出てくる。階段近くにたたずむ低学年の双子を見て、少々首を傾げる者も何人かいたが、それだけで、素通りしていった。
「なかなか来ないね」
「掃除当番かな?」
教室の中では、まだ残っている数人がガタゴトと音をさせている。ちなみにキルシュとペシェは来週なので気にしなかった。
やがてその音もやむと、また人が出てくる。最後に出てきた中に、見知った顔を見つけて、二人は早速駆け寄った。
「「先輩!!」」
「?!」
突然後輩の二人の少女に話しかけられた男子生徒は、ひどく驚いた表情をした。
「は、はい・・・・っと、どちらさま・・・・?」
「キルシュです」
「ペシェです」
二人そろって○○です、とは流石に出てこなかった。ちょっと身構えてしまったが。
「80先輩、この間の校外学習の時に、アルバイトを探していたでしょう?」
「ぎくっ!」
「ヒマな時間とはいえ、授業中に探すのは良くないと思います」
「「学生として」」
ゾフィーに教わった通りにステレオで強調して言うと、80は慌てて首を上下させた。
「そ、そうだね」
「そこで私達が、すっごく良いアルバイトを紹介しちゃいます!」
「高学年だからちゃんとアルバイト代がでるんですよ!」
「しかも家庭教師がつくんです!」
「さあ、お買い得なお仕事に行きますよ!」
「ええ?!」
両手を左右から引っ張られて「お買い得なお仕事ってなんだろう」と、80は階段を下りながら考えていた。
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僕だって○●したい!40 

翌日。講堂に全校生徒が集められた中、ヤミンは所長にシェーシャ星人だと紹介しなおされた。
ざわつく講堂内を見て、ヤミンは表情を変えないまま、壇上から生徒達の様子を観察した。
何処となく嫌悪感を感じている者、純粋に受け入れている者の様子は半々だった。
お尻はまだヒリヒリと痛い。歩くのにも支障が出るというのに、タロウは昨日はきっちりと補習を受けさせた。噂に聞くセブンの指導よりももっと厳しいかもしれない。
所長の話が終わって、解散になるなか、バレンがヤミンの側に駆け寄る。マナセはバレンの後をついて行く。タロウはもう他の教官達と一緒に講堂を出てしまっていて、監視をしているわけでもないのだが、なんとなくヤミンの側に行かないと咎められるような気がした。低学年の生徒達の中で、見知った三人が視線をよこしてきたが、クラスメイトの波に流されて、講堂の外に出て行く。
「皆、平気みたい。そんなに気にしなくていいんじゃないのかな?」
「能天気だな」
ヤミンは昨日より毒気のない声色で言い返す。
「俺を紹介したオッサンなんか率先して嫌がってたじゃねーか」
「そ、そうかな・・・・?」
遠慮がちに曖昧な返事をするバレンの横で、マナセは大きく息を吸った。
「しょうがないよ。宇宙警備隊の栄光は、ウルトラ族が築き上げてきたんだから」
「ふん、お高くとまってんじゃねーよ。嫌ならあっち行け」
「でも、宇宙の広さから考えたら、ウルトラ族だけで全部をカバーするには人数が足りないし、異星人をこれから増やしていくっていう意見になるのは当然だと思うんだ。だから多少嫌でも我慢するよ」
「え? 嫌なの?!」
バレンの質問には答えず、マナセは彼らと同じ歩調で教室に向かった。


放課後、タロウの教官室に向かうと、そこには既にメビウス達が来ていた。
「今日は体術だな。バレンとマナセはまたメビウス達に教わるってくれないか?」
タロウはヤミンのお尻をまた軽く叩いて外へと促す。
「痛ぇよ! 何ワザとやってんだよ!」
わめくヤミンを見て、バレンはメビウス達に話しかけた。
「あのさ、ヤミンの事、低学年だとどうだった?」
「どうっていうか・・・・」
「異星人が養成所にいることに対して違和感が拭えないようです」
「あ、でも、俺達はいいと思いますよ!」
「うん、僕もいいと思うんだけど・・・・」
ちらりと、窺うようにマナセを見る。
「僕が思うに、感覚と思考のギャップじゃないかな。あとは・・・・編入試験で性格も審査されればいいと思ったけど」
「ま、まあ・・・ちょっと乱暴な気はしますけど・・・・」
「こらー、何サボって喋ってるんだ?!」
タロウの声が聞こえて、慌てて5人は構えを取った。

今日の補習が終わって教官室でお茶を飲む。生徒達に配り終わった後、最後にカップを手に取ったタロウは、今日の発表の結果を聞いた。
「そうか、やっぱり賛否両論か。いいんじゃないかな?」
「どうしてですか?」
メビウス達とバレンが不思議そうな視線をタロウに向ける。
「反対意見があって当然なんだよ。そこから学んで行くことがたくさんあるんだから。それに僕たち同士だって違うものだってちゃんと認識しておかないと、惑星赴任で現地に行ったらもっと凄いことになる。特に、異星人に慣れていない土地ではね。例えば、地球とか」
「地球で?!」
あれだけ有名な星で異星人が否定されるなんて、考えられない。
「色々あるんだよ、あの星は」
懐かしそうに何処かを見上げるタロウを見て、地球がますます謎めいてきた。
「そうだ、地球の資料ってありますか?」
マナセが飲み終わったカップを置いて言った。
「あるよ」
「古代文明の研究の一環として、見てみたいのですが」
「いいよ。あ、そうだ。明後日休みだし、明日の放課後からうちに泊まりにくるといい。たくさん見せてあげるよ」
「え? いい・・・・」
「ええーーーー?! いいなーー!!」
マックスが身を乗り出す。
「はいはいはーい! タロウ教官、俺も行きたい! 行きたい!」
手をあげて立候補するマックスの横で、ゼノンも無表情のまま手を挙げる。
「な、メビも行きたいだろ? 先輩も皆で行けばいいじゃん!」
「え、えと・・・お邪魔じゃなければ・・・・」
タロウの家には興味がある。バレンはこそっとヤミンを見たが、つまらなそうに砂糖を追加していた。
「や、ヤミンも行かない?」
「休みなのに行ってどうすんだよ。寝るに決まってんだろ」
「君たちは補習の続きがあるから全員参加だな」
「なんだと?!」
立ちあがったヤミンがタロウを睨みつける。
「後は君の返答だけだ」
ゼノンがメビウスを促した。
「え? あ、あの・・・・僕もタロウ教官の家にお泊りしたいです!」
「よし、決まり! 明日はちゃんと外泊許可を申請してくるように」
「「「「はーい!」」」」
「い・や・だ!」
バチン!とお尻を叩く音が響いた。




                おしまい

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僕だって○●したい! 39

「痛ぇ! バカ! やめろ!」
「1,2,3,4,5,6・・・・」
タロウは暴れるヤミンに構わず、お尻を叩く。
「た、タロウ教官・・・・?」
担任になったことはないが、タロウがこうして生徒に対して暴力を振るうところは見たことがない。こんなに怖いタロウは初めてだ。
次第に叩かれるヤミンは暴れるのもおっくうになってきたのか、大人しくなってきた。悪態が減り、半ベソ状態になる。
「・・・・97,98,99、100!」
最後に一際大きく音を立ててお尻を叩くと、やっとタロウはヤミンを立たせる。うつ伏せになっていたのにフラフラになったヤミンはよろけて手近なマナセに捕まった。
「わっ?!」
慌てたマナセは踏鞴を踏む。反射的にヤミンの手を払おうと思ったが、とどまった。バレンが「大丈夫?」と近寄ってくる。
「タロウ教官・・・・なんか今日は、怖いです・・・・」
メビウスはベンチから立ち上がったタロウにぼそりと言う。
「ヤミンを叩いたことかい? 確かに、光の国じゃ見たことなかったろうね。でも、悪いことをしたら罰を受ける。例え他の人に知られなくても、自分で自分に罰を与えるものだ。『お天道様に顔向けができない』って。
それに、罰を与える方も辛いんだよ」
タロウがヤミンを叩いてた手を差し出す。
「?」
ちょっと引き気味のメビウスを押さえ、マックスがそれに触った。少し腫れて熱がある。
「そっか、教官もずっと叩いてたから手が痛いんだ」
メビウスとゼノン、マナセにバレン、それからヤミンもタロウの手を見た。
「手が痛くなることはこれからもある。これから悪い星人と戦うだろうけど、それは相手を正せるように頑張らなきゃいけない時だ。忘れるなよ」

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僕だって○●したい! 38

タロウは周囲の人に、何度も「すみません」「お怪我はありませんか?」「お騒がせしました」と頭を下げながらメビウス達のところに来た。後にはマナセもついてきている。
「君たち、何をやっているんだ? 今日の補修にも来ないで」
「う・・・・」
「ご、ごめんなさい・・・・」
しょぼくれるバレン達とは逆に、ヤミンは一人不貞腐れた表情でタロウを睨みつけた。タロウはそんな視線をものともせずにヤミンをひょいと小脇に抱えた。
「ちょっ・・・離せよ! バカヤロー!」
「説明は別の場所で聞こう。君たちも来るんだ」
「はい・・・・」
じたばた暴れるヤミンを気にせず、タロウは近くの公園に向かった。

公園のベンチに座ると、タロウは隣に強引にヤミンを座らせ、立たないように肩を押さえつける。
「ゼノンに途中経過までは聞いた。そこから先のことを一人ずつ順番に説明してもらおうか。それぞれの主観でいいから」
「はい・・・・」
俯いた子供たちが、互いに目線をよこし合う。メビウスとマックスに順番に見られ、バレンは覚悟を決めて口火を切った。短い話のはずが、つっかえつっかえで妙に長くなる。話し終ると、次はマックスが証拠隠ぺいでもするように早口で喋り、最後にメビウスが拙い報告をした。
「なるほど、わかった」
タロウはそういうと、隣でぶすくれているヤミンを見る。
「自分の機嫌が悪くなったからといってルールを破っていいわけじゃない。君の今までの人生はそうやってきた。
だけどこれからは違うんだっていうことを、何故ちゃんとわかろうとしないんだ?」
「ふん」
そっぽを向いたヤミンの頭を掴み、無理矢理メビウス達の方を向かせる。
「ちゃんと止めてくれた彼らにお礼を言うんだ」
「嫌だ。だってそいつらの所為で騒ぎになったんだ。俺だけなら新市街地区じゃ目立たなかった」
「だが、君の母星のルールに照らし合わせても喫煙は違法だ」
タロウはそういうと、ヤミンの体を自分の膝の上にうつ伏せにした。
「未遂だからって今日は容赦しないぞ」
そういうと、赤い手がヤミンの灰色のお尻をバチン! と叩いた。
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僕だって○●したい! 37

二人に左右から抑え込まれたヤミンは、膝を少し曲げて腰を落とした。全力で飛びついていたメビウスとマックスは、誘いこまれるようにヤミンに向かって倒れる。少し浮いた足首に向けて、ヤミンは自分の爪先で二人の足を薙ぎ払った。
「うわっ?!」
「わわっ?!」
そのまま倒れかかるメビウスの腹に蹴りを入れ、マックスの方に向けて転がす。今度はバレンが止める間もなかった。オープンカフェのテーブルと椅子がぶつかり、倒れる。
「きゃー!」
悲鳴があがった。ヤミンは忌々しそうに舌打ちをすると、三人に背を向けた。
「あ、待って!」
バレンが背後からヤミンに飛びつく。二人揃って地面に倒れ込み、周囲にできていたギャラリーが少し広がった。
「邪魔すんなっつってんだろうが!」
「こ、ここじゃまずいから!」
ぎゅうぎゅうヤミンにしがみつきながら、バレンは後ろを振りかえった。立ち上がったマックスが自分と同様に、ヤミンの上にボディプレスでもするように飛びかかる。
「ぎゃうっ!」
ついでに自分の顔もマックスの胸に押しつぶされ、バレンは短い悲鳴をあげた。
「だ、大丈夫ですか?!」
律儀にテーブルと椅子を元の位置に直したメビウスが来る。ヤミンは地面についた両手に力を込めて立ち上がろうとする。
「こんの・・・・!」
「逃がすもんか~~~!!」
「あいたたた・・・・痛い、ちょっと緩めて! 僕が・・・・!」
二人に圧し掛かられているヤミンは、それでも膝まで立てると、自分の背中にいる二人に向かって踵を振り上げる。勢いはないが、二人の足や下腹部に当たり、痛いことは確かだった。
「えっと、ど、どうしたら・・・・」
二人を助け起こしたいものの、ヤミンを逃がすわけにもいかず、メビウスは側に立ちつくす。そこで初めて周囲に人だかりができているのに気付いた。
「あ、あのっ・・・・すみませ・・・・」
「ヤミン!」
頭上から聞こえた大人の声に、メビウスはパッと目を輝かせて振り仰いだ。
「タロウ教官!」

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