もしも小話

アニメや特撮等、筆者の見たものの「もしも~」的な話を載せたりするブログです。無断転載禁止。

夏の夜の悪夢1

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星が降った町17

美鈴の足元に、サンダーダランビアの人形が落ちた。
「あら? これって・・・・」
「うむ。どうやら、あっちと分離したようだな」
タロウの目線は美鈴とは逆の方を向いている。それに合わせて視線を巡らせると、黒焦げになった二人の男が、げほっと煙を吐いた。
「この人達、さっきゴミを捨ててた人達じゃない!」
「すぐに警察に連絡を!」
「う、うん!」
美鈴は携帯電話を取り出すと、カッキーの番号にかけた。
「アンビリーバボ・・・・」
サンダーダランビアの人形と分離した二人を見たババルウは、そそくさと木の影から更に隠れた。
ギンガの姿が光の泡となって消えると、その足元の地面にヒカルが降り立つ。今までの妙な浮遊感から離れた現実感に、足元の地面を数度トントンと爪先で確認する。それから美鈴のもとに走った。
「大丈夫か?!」
「う、うん。
それよりあの人達・・・・」
「ああ、俺もさっき”視た”」
「今ね、カッキーさんに電話したの。すぐに逮捕しにくるって」
「おお、手際いいじゃん」
「私が助言したからな」
美鈴の手の中で、タロウがふふんと胸を反らせたような気がした。
「ふふ、そうね。
それとね、ヒカル君」
「な、なんだよ」
「守ってくれて、ありがとう」
少しはにかみながらも、素直にお礼を言う美鈴の笑顔に、ヒカルの喉元がなんだかおかしくなる。
「そ、そりゃ、ビビってる美鈴見たら、ベビーカーのすげー格好思いだしてさ、腹筋崩壊する前にこりゃなんとかしないとって・・・・」
「もー! 何それ?! 忘れてって言ったでしょ?!」
怒った美鈴が、タロウを握りしめたままポカポカとヒカルを叩きだす。
「美鈴! ちょっと待て! 私を振り回すな! 痛い!!」
「痛って・・・・角! 角当たる!」

(でも、そんなやりとりが、なんか楽しいな、なんて思ったり。
俺が突然この町に来たって思った理由。
それは・・・・運命、とか?!)
ついでに冒険小説でも書こうかな、なんて思った。


    終わり

星が降った町16

この際、人形はなんでもいい。
ヒカルは内側から吹き上がる風に導かれるまま、銀色の人形を掴み取った。

”記録”で垣間見た”誰か”。
銀色の巨人。

光を纏っているその姿に似合わず、少しおずおずとした声がした。

『ギンガ。私の名は、ギンガ』
「ギンガ・・・・?
誰でもいい! 美鈴を助けたいんだ!」
ヒカルは夢中でギンガの人形の足の裏に、ギンガスパークを刺した。

――ウルトライブ・・・・ウルトラマンギンガ

倒れた美鈴とタロウの側に、ブラックキングの人形が落ちた。
「ブラックキングの人形が?! ヒカル!!」
「ひ、ヒカルの、姿が・・・・!」
美鈴の声に見上げると、そこにはタロウの見たことのない、20メートル程の大きさのウルトラマンが立っていた。
体のラインと色こそシルバー族に似ているが、体の各所に纏うクリスタルは、タロウの知っているどんなウルトラマンとも違った。
「なんだ、あのウルトラマンは?!」
そのウルトラマンは、サンダーダランビアの放った電撃を片手で受け止め、そのまま霧散させた。
「ヒカル君だ! あれはヒカル君だよ! 姿が変わったんだよ!」
タロウを握りしめて美鈴が立ちあがる。

「すっげ・・・・」
同じ攻撃を喰らったのに、今は受け止めた左手に痛みすら感じない。これだけでも圧倒的な強さだった。
「凄すぎるぜ、ギンガ! 俺の中にまですっげえパワーを感じる!」
そしてサンダーダランビアを見た。
「・・・・いける!」
ヒカルの意思を汲み取ったギンガが、サンダーダランビアに向かって走る。真正面から組み合い、首を抱えて背負い投げする。パンチもキックも、全てヒカルが思った通りに、時にはその意思を先回りして読んだかのように、ギンガが動く。
演武をイメージすれば、ヒカルにできないような動きまでしてくれた。
「おまえ、凄いよギンガ!」
再度サンダーダランビアを投げ飛ばし、それでもまだ溢れるようなエネルギーを感じて、ヒカルは興奮気味にギンガを褒めた。
「けど、あいつ等をいつまでもあのままにはしておけないよな。デカすぎて邪魔だし。
何かできないか?」
ヒカルの問いに答えるように、ギンガの体の各所にあるクリスタルが、金色の光を発する。それは同時にヒカルにも熱となって伝わった。
「何、するんだ?」
驚いて周囲を見渡したヒカルは、晴天だったギンガの頭上に一瞬で暗雲が立ち込めるのを見た。それは本当に真上だけ。サンダーダランビアの頭上にはない。
「なんつーピンポイントだよ、おい。これって、まさか・・・・」
『ギンガサンダーボルト』
さっきよりも少し自信のある声がした。
「やっぱり雷か! よし、行くぞ!
ギンガサンダーボルト!!」
天上からの雷を円盤のように丸め、サンダーダランビアに投げつける。
空中高く、数百メートルは飛ばされたサンダーダランビアに、ヒカルの方が目を丸くした。
「あ、あんな威力あるのか?!」
そしてそのまま爆発した。
「おいいいい!! あいつら大丈夫なのかあああああ?!」
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星が降った町15

サンダーダランビアは倒れたブラックキングの上に乗り上げるようにして、何度も腕を振り下ろした。ついでに蹴りも何発も入れる。
「痛って・・・・。なんなんだよ、こいつは!」
いきなり攻撃された事に腹を立てたヒカルは、蹴飛ばされた弾みで少し距離が開いたのを幸いに、よろめきながら立ちあがって、攻撃してきた張本人を見た。
背中の大きな角と眉間の光る器官。その奥に二人の人間がいた。邪気と悪意の篭った笑い声が、怪獣の内部でだけ響いている。
「さっきの不法投棄の・・・・!
おまえらああああああ!!」
ブラックキングがサンダーダランビアに体当たりした。押し返されそうになるも、ブラックキングは体を少しずらして力を逃がし、反対にサンダーダランビアをよろけさせる。
倒れかけたサンダーダランビアの巨体から起こった風圧で巻き起こった強風に、倒れたままだった美鈴はまた転げて悲鳴をあげた。
「きゃあっ!」
「おい美鈴! そこは危ない! 逃げろ!」
「あ、ああ、う・・・・」
「美鈴、早く立つんだ!」
美鈴はタロウを握りしめたまま、恐怖に震えて首を振った。目をそらしたくても反らせない。気絶でもできてなら、まだ気が楽なのに。そんなことがチラリとだけ頭の隅に浮かんだ。
ブラックキングに片腕を取られて身動きの取れなくなったサンダーダンラビアが放電をまき散らした。
「うわあっ?!」
凶悪な電圧に撃たれ、倒れるブラックキングの周囲の工事現場も森の梢も、次々と雷の餌食となっていく。
「きゃあ!」
稲妻の轟音と、機材の爆発する音の衝撃波が美鈴の体を直撃した。鼓膜も心臓もこのまま破れてしまいそうだ。体がばらばらになってしまわないよう、美鈴は自分自身を抱きしめた。
「い、いや・・・・何なの・・・・?!」
「美鈴、大丈夫だ! 立ち上がれ! 
ヒカル、そのまま持ちこたえてくれ!」
「ひ、ヒカル君・・・・?」
タロウの声につられて美鈴は空を仰ぎ見た。
ブラックキングが、美鈴を庇う様にサンダーダランビアに背中を向けている。
「う、うくっ・・・・」
いくら未知の体験をしたいからとい言っても、落雷に遭いたいとは思っていない。
「流石、きついぜ・・・・死人出るのも、わか、るっ?!」
ブラックキングの首にサンダーダランビアの尻尾が巻きついた。
「はぐっ・・・・!」
窒息の苦しさに加え、更に強く電撃が浴びせられる。
「の、脳が死ぬ・・・・」
骨から皮膚に向かって焼かれているような感覚に、次第に意識が遠退き始める。
(これ、気絶する、ってこと、か・・・・)

したらどうなる?

答えを導く前に、タロウの声が頭に直接飛び込んできた。
「ヒカルーーーー! しっかりするんだーー!
美鈴を、美鈴を守れーーーーー!!」
「美鈴?!」
ハッと目を開けると、足元に倒れた美鈴が、怯えたような、すがるような眼で、ヒカルであるブラックキングを見上げている。手にはタロウを握りしめて。
「美鈴ーーーー!!
くそう、潰されてたまるか!
うおおおおおおおお!!!!!!」
叫ぶヒカルの右手に、再び紋章が現れる。全身の力を振り絞ったヒカルが、サンダーダランビアの尾を外したその瞬間。
ギンガスパークから、銀色の人型をした人形が現れた。

星が降った町14

    ―――ウルトライブ ブラックキング―――

ギンガスパークが初めて強烈な光を放った。それはヒカルと人形を包み込み、一つにまとめて空中に放り出してしまう。
全長20メートル程の怪獣が降り立った裏山が大きく揺れた。本能的な叫びが物理的なエネルギーを放出し、柔らかい梢はおろか、美鈴の体まで大きく揺るがせた。辛うじてタロウを持ったままそれに耐えた美鈴だが、麦わら帽子が飛んでしまった。
「そんな?! 私にはできなかったのに何故だ?!」

ブラックキングの興奮が収まり、ようやくヒカルの方も視界が戻ってきた。妙にふわふわする場所に立っていた。
空間そのものに柔らかに包まれているような感覚。自分の腕と視覚はあるものの、同時に遠い場所にも体がある。映画館のスクリーンのようなものが前方に広がっている。そこから見える風景は、視点の大分上がった世界だった。
「お、おお? な、何でこうなってるんだ?! 飛んでる?!」
しかし飛行機やヘリコプターにしても視界が狭い。
「正面だけじゃなくて、もっと横とか後ろとか見えるように・・・・あと遠い!」
ヒカルが文句を言うと、ぐっとスクリーンが寄ってきて、そこから周囲の空間が一気に外の風景を映し出した。
「お、あ・・・・う、浮いてるーーー?!」
足元までスクリーンになっている空間で、ヒカルがいるのは地上17メートル地点のようだ。
「な、なんだっての・・・・」
頭を抱えようと引き寄せた手だが、同時に視界に黒くてゴツくて長い爪を持ったものも近づいてくる。
「おわ?!」
慌てて振り払うような仕草をすると、その大きな手も退いた。
「あ、あの色、さっきの人形の色じゃ・・・・」
他にも何かないか周囲を見ると、背後に尻尾も見えた。ヒカルが軽くお尻を振ると、尻尾もそれに合わせて揺れる。
「おお、面白れー! 俺、巨大化した人形の中にいるのか!」
「何が面白いのよ! 危ないじゃないの!」
遥か下から美鈴の声がする。怒鳴っているようだが、あまり上手く聞き取れない。遠いからだ。
「あ、悪ぃ。遠いから聞こえないわ」
「もう、ヒカル君のバカ!」
すると気を利かせたのか、美鈴の声がステレオで聞こえた。
「うわ?! 音、大き過ぎ! もっと適量!」
慌てて耳を押さえる。これで音声の拾いも調整してくれると嬉しいのだが。
「けど、これってどうやって降りるんだ?」
人形の中に入ってしまったからか、ギンガスパークに人形はない。
首を傾げるブラックキングに、電撃が当たった。
「うわっ?!」
周囲の木々を薙ぎ倒し、ヒカルの乗ったブラックキングが地面に倒れる。
「きゃ・・・・な、何?!」
その余波に煽られた美鈴は、近くの木に捕まりながら衝撃が去るのを待った。暴風はすぐに過ぎ去ったが、地面の振動は止まらない。電撃の放たれた方向から、のそりと帯電した角を背中から生やした怪獣が現れた。
「き・・・・」
大気を震わせる圧力に、悲鳴が最後まで上げられない。
「サンダーダランビア?! まさか、ダークスパークの力で?!」
「タロウ、知っているの?!」
握りしめていたことを心から感謝しながら、ようやく声を絞り出す。
「あれも我々ウルトラマンが戦っていた怪獣だ。同じく人形にされたはずだが、実体化しているとは・・・・誰かがダークスパークを使ったに違いない!」
サンダーダランビアの背中の角から電撃が迸り、周囲の木や、山の麓の工事現場のプレハブが跳ね跳び、発火する。雷の破片は移動しながらブラックキングに直撃した。
「うわあっ?!」
倒れたままのブラックキングから、ヒカルの悲鳴が聞こえた。
「ひ、ヒカル君!!」

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