もしも小話

アニメや特撮等、筆者の見たものの「もしも~」的な話を載せたりするブログです。無断転載禁止。

そうだ、ゲームしに行こう!17

トシオが二人をぶっちぎりで引き離して家に入る。その後をセイジが、ひいこら言いながらやっとセイイチが追いついてきて、二階にあるセイイチの部屋に飛び込んだ。もうトシオがソフトをインストールしている。
「ああ・・・やめんかー!」
「セイイチ、頼む、一回だけやらしてくれ!」
「そういって一回だけと言いながら、二回三回とついついやってしまうのが茶碗を差し出し電源を入れてしまうのが人の常!」
「すごいなセイイチ、とてもよく観察している。確かに弟と遊び始めたら、時間を忘れてしまうことは多々あった」
「ふっ、伊達に20年生きちゃいねえのさ。
というわけで、それは俺のPC! うっかり理性を崖から突き落として一日一時間を守れないであろうおまえを、後からしっかり観察してやろう!」
「要は自分がエロゲしたいだけじゃん」
真実を語る口は抓られ、廊下に放り出された。
セイジは一回セイイチの部屋のドアを蹴飛ばし、思いっきり「イーっだ!」と言って、階下に降りた。
TVを点け、買い置きのお菓子を棚から引っ張り出す。韓流だかなんだかのドラマをやっているようだが興味はなく、時計代わりのつもりだ。もらってきたカードを専用のブックに入れ、デッキのパターンをあれこれ考えていた。
「セイジーー!!」
やがてドタバタと音を立てて、トシオが降りてきた。
「もうダメだーーっ! 『お兄ちゃんなんか大嫌い』と言われてしまったーーー!!」
そのままセイジに抱きついて泣き始める。アホだなと思いつつ、セイジは適当に頭を撫でてやる。
「ふはははは・・・・! この手のゲームで一時間でゲームオーバーとは情けない! 
よーし、次は俺は正調・兄と妹はパピプペポを披露してやろう!」
「頼む、セイイチ・・・・!」
「その前に晩御飯ね。もう6時だし」
セイジは無常にニュースに切り替わったTVを示した。二人のキャスターが挨拶と共に頭を下げた。
「こんばんは、本日のニュースの時間です。
本日、湾岸エリアで行われたゲームフェスタの会場に、突然怪獣が出現しました」
もともとマスコミも集まっていたイベントだ。内部や外部のパニック具合までがくっきり映されている。そしてゾフィーの姿が映ると、思わず三人とも画面に見入った。
「怪獣はウルトラマンによって倒されましたが、数名の怪我人が出た模様です」
「ま、なんでもってわけにはいかないか」
セイイチが気にするなと、トシオの胸を叩く。
「同時刻に湾岸エリアで作業をしていた複数の作業員が、意識不明状態となり、救急車で運ばれました。運ばれた方々は、すぐに意識を取り戻すと、非常に明るく健康に振舞った直後、亡くなりました」
犠牲者の写真が映し出され、トシオは息を詰まらせる。
唯一爆発した尻尾にあった、人面だった。


                     終わり
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そうだ、ゲームしに行こう!16

アイトにタカノリ、ダイスケ達をそれぞれ家に送り届け、セイジは帰る道すがら実兄に提案をした。
「あ、兄ちゃん中古屋寄って。んでこれ売っぱらって」
トシオから預かりっぱなしだった体験版のゲームを渡す。
「セイジ、それは待ってくれといっただろう?」
慌ててトシオがセイジの手から取り戻そうとするが、セイジはパッと見を翻してセイイチの反対側に逃げて袋を手渡した。
「あん? 買ったばっかじゃねーか。もったいない。ダブったのか?」
なんだったらゲーム好きのゼミの連中にくれてやってもいいかなと思いつつ、袋を開ける。
萌え系の絵に成人指定とかくればセイイチの脳は簡単にオーバーヒートした。
「おおお、おまえっ?! まさかアレか?! キャトルミューだけじゃ飽き足らず、電脳世界までサンプリングをとってウハウハとかやる気かっ?! 全宇宙に地球のエロを振りまいて、歌舞伎町で宇宙人さんよってらっしゃーいとピンクの法被を振る気だな?!」
「いや、これは育児シミレーションだ」
「これからえっちにしましょうねシミレーションだろうがぁあ!」
ストレートに恥ずかしい事を叫ぶセイイチをセイジは蹴飛ばした。
「いいからとっとと売っ払えよ!」
「こら! お兄様に向かってなんて罵詈雑言言いやがりますかーっ?!」
弟と喧嘩をし始めた隙を狙い、トシオはセイイチの手からさっとゲームを抜き取った。
「あ!」
「一度ぐらいいいだろう?」
「よせーー! っていうか、俺のPC使う気かーーー?!」
慌ててセイイチとセイジはトシオを追って家に走った。

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そうだ、ゲームしに行こう!15

バラキエルの体が、内側から切れ目が入ったように光を放つ。半透明な体に繋ぎとめられていた哀れな人面は、小さな玉となってふよふよと元の主のところへ戻っていく。唯一色が付いたままだった短い尻尾は、ボトリとアスファルトの上に落ちると爆発した。
後には何も残っていない。建物の破片だけだ。それを確認すると、ゾフィーは空へと飛び立った。


「おーい、セイジー!」
パトカーや救急車、消防車の向こうからトシオが手を振って走ってくる。特に怪我もなく、パニックにもなっていないので、子供とはいえ救助側からの声かけは短いもので、ほぼ放置状態だった。
「トシオ兄ちゃん!」
「無事だったか」
「うん!」
「あ、お兄さん、トイレ大丈夫でした?」
「上も下も平気?」
「あ、ああ。壁や天井にヒビが入っていたが、倒壊の危険性はないみたいだよ」
「いや、そうじゃなくてゲロったかって・・・・」
「兄ちゃん、兄ちゃん! この子、お巡りさんのところに連れて行こうよ!」
慌ててタカノリの言葉を遮り、セイジが女の子を前に押し出す。
「そうだな、早くご両親のところに返してあげたほうがいいだろう」
トシオは女の子を抱っこすると、警察の指揮車のような大型ワゴンの前に迷わず連れて行った。
「すみません、迷子の子を発見したのですが」
「ありがとうございます」
「セイジィィ! 無事かー! 生きてるかー! 呼吸はっ?! 酸素マスクは持っていったかあああ!!」
駅の方から一際騒がしい声が聞こえ、セイジはトシオの影に隠れた。
「あ、セイジの兄ちゃんだ」
「すぐわかるな、おまえの兄ちゃん」
(酸素マスクつけて喋んなきゃいいのに)

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そうだ、ゲームしに行こう!14

ガラスが軋むような音と共に、怪獣バラキエルが地面に倒れた。半透明なままの体には、人々の顔が模様のように浮かんでいる。
ゾフィーは倒れたバラキエルの上に乗り上げると、上から何度もパンチを食らわせる。透明な体表の上の人間が、一斉にゾフィーを見た。
戸惑い、動きの止まるゾフィーをバラキエルは腕の一振りで払い落す。駐車場に転がったゾフィーはすぐに起き上がり、中腰でバラキエルの様子を窺う。バラキエルはゾフィーに向かって手を振り上げるが、それを側転で避ける。立ち止まったゾフィーに向かって怪獣が体重でアスファルトを軋ませながら接近する。ゾフィーは腰を落として両腕を掴むと、そのまま巴投げで海の近くに投げ飛ばした。
(いたい)
(いたい)
(いたい)
(いたい)
(いたい)
(ひどい)
(ひどい)
(ひどい)
(ひどい)
(ひどい)
怨嗟の声をあげながら、バラキエルの半透明な体が、徐々に灰色の色を得ていく。ゾフィーは投げ飛ばしたままの姿勢でその変化を驚いたように凝視している。
バラキエルはさっきよりも俊敏な動きで立ち上がると、口を開いた。半透明なテルテル坊主が何体も飛び出してきて、ゾフィーの体にまとわりつく。接触された体の一部が、色を喪い透明になっていく。それは同時に、ゾフィーの中から何かを食い千切って逃げて行くような感覚を与えた。微量ながらも鱗の様に表れている人面が、またくっきりと輪郭を浮き立たせる。
バラキエルが戸惑うゾフィーを殴る。先程払ったよりも遥かに強い力で
ゾフィーはこれ以上接触されないよう、全身に光を纏う。海面が陽光以外を反射して、銀色の水のように見えた。
「ねえ、何あれ?」
「ウルトラマンじゃない?」
ようやく裏口から外に出たセイジ達は、建物越しでもまだ見えるゾフィーの姿を見上げた。
ゾフィーは輝く手を振るってテルテル坊主を払い返すと、バラキエルの腹に何度もパンチを入れ、顎を蹴り上げた。濃い灰色にまでなっていたバラキエルの体が、ゾフィーの攻撃が当たる度に色を喪い透明になっていく。怨嗟の声は、徐々に(やめてくれ)と、懇願するまでになっていた。
バラキエルは更に口からテルテル坊主を吐いた。それはゾフィーに向かってではなく、建物の向こうに逃げた人々に対してだ。
「ああ、あれ! あれマズい! マジやばい!」
セイジはアイト達だけでなく、周囲の人達の服を引っ張り、逃げようとする。初めて商店街が襲われた時の物に、物凄く似ている。
なかなか動かない周囲に焦れたセイジは、突き飛ばしてでも動こうとする。
「あれは人食いなんだよ! 早く逃げろよ!!」
『人食い』の言葉にようやく周囲が反応し、止まっていた足が動きだす。だが、テルテル坊主の方が早かった。獲物を見つけた鮫のようなスピードで、上空から急降下してくる。
「っ!!」
息を飲んだセイジが咄嗟に目をつぶった時だった。金色の巨大な蜘蛛の巣のようなものが、人々の上に出現し、突進してくるテルテル坊主を絡め取る。
瞼越しに感じた光に目を開けると、テルテル坊主たちは蜘蛛の巣にまとめられ、建物の反対側へと強制的に連れていかれて行く。
「ゾフィー・・・・!」
ゾフィーは光のネットごとテルテル坊主をバラキエルにぶつけると、右拳に光を集中させた。体の他の部分を覆っていた光が、全て一点に集まる。
後頭部に後回し蹴りを叩き込み、下を向いた口が開いた瞬間、ゾフィーの拳がバラキエルの口に叩き込まれた。
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そうだ、ゲームしに行こう!13

「トシオ兄ちゃん!」
走ってきたトシオは、セイジ達が庇うように中心にしている女の子にすぐ気付いた。
「この子は?」
「はぐれたみたい。でも、今はわからないから・・・・」
「わかった。一緒に逃げよう。
いいかな?」
トシオはしゃがんで女の子に尋ねたが、反応はない。ただ黙ってトシオを見ている。

    ドシン! 

「う、うわ・・・近づいてきた!」
アイトが体格の良いダイスケにしがみつく。
「よし、逃げよう!」
トシオが女の子を抱えると、セイジ達はその周囲を守るように人混みに乗って動き出す。
音が聞こえた。
何か強くぶつかるような、鈍い金属音。
音に気付いたタカノリが天井を見ると、天井を支えるハニカム構造の鉄柱が、スローモーションで落ちてくるように見えた。
「う、うわーーーーーっっっ!!!」
十秒ぐらい絶叫していたような気がするが、自分の声は一向に遮断されなかった。
「ど、どうして・・・・?」
止まっている。鉄柱が、空中に止まっている。
「え、ええっーー?!」
天窓のガラス越しに、怪獣が何度も天井を叩いているのが見える。
「お、おい・・・・なんで壊れないんだよ・・・・・」
あちらこちらで逃走する足を止め、人々が不安そうに天井を見上げた。
「トシオ兄ちゃん?」
セイジが小声でトシオを窺うと、顔を真っ青にしてトシオが、女の子を下して口元を手で覆っていた。
「どうしたの? 気持ち悪い?」
「お、重い・・・・」
見ている間に、トシオの額からどんどん汗が流れて行く。一人だけサウナに入っているようだ。
「だいじょ、ぶ?」
女の子が心配そうにトシオを覗き込む。
「うん、うん・・・ごめんね・・・・大丈夫だから・・・・」
(まさか、天井?)
トシオは俯いたまま頷いた。
(変身したら、大丈夫になる?)
(ああ・・・・だが・・・・)
「トシオ兄ちゃん、トイレあっちだから!」
セイジは女の子を抱き上げると、大声でトイレの場所を示す。
「おい、早く逃げるぞ!」
「いいのかよ!」
「こんな時にトイレ?!」
「やばいって、やられちまうって!」
「いいから!」
セイジは友人たちの声を押し切って、先に女の子を抱えてよろよろと歩きだす。
「すまない、セイジ・・・・!」
ダイスケが代わりに女の子を抱っこしようとしているのを見て、トシオは近くの男子トイレに駆け込んだ。

建物の一角から、眩い光球が浮かび上がり、怪獣の頭を蹴り飛ばして着地した。

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