もしも小話

アニメや特撮等、筆者の見たものの「もしも~」的な話を載せたりするブログです。無断転載禁止。

ラジオ局にて オマケ

「魔法使いはいないけど~♪ 何時も仲間が傍にいる~♪」
タロウが隊長室に入ると、珍しくゾフィーが歌なんか歌っていた。
「珍しいですね、兄さんが歌なんて」
「うむ、実は廃番になっていたシングルを偶然発見してな」
ゾフィーは嬉しそうにプレートを取り出してタロウに見せた。
「惑星ビッグスッターの伝説のアイドル『勇者隊』だ。持っていると幸せになれるという言い伝えがある」
「胡散臭ッ! 
でもビッグスターの住人じゃないですよ。この三人。地球人みたいだ」
タロウはシングルのジャケットを見て言った。三人の小学生ぐらいの子供たちがポーズをとっている。
「その辺もミステリーの一つだろうな」
「ミステリー?」
「そうだ。発売一週間で、全宇宙で200億枚を売り上げたが、ファーストコンサートが引退コンサートという伝説だ。しかも十年前」
「バカ言わないでくださいよ。十年前なら僕だってこっちに帰ってきてたんですから、発売一週間で200億枚なんてチャートぐらい憶えていますよ」
「そうだ。私も憶えていない」
「え?」
ゾフィーは机の上に肘をつくと、両手を組んでそこに頬杖をついた。
「だが、これは現実に発売された。もちろん雑誌にも掲載された。にも関わらず、たった十年でシングルは100枚程度しか残っていない。掲載されたはずの雑誌には載っていない。代わりに別の特集が組んである」
「どういう、こと、ですか?」
「何らかの超常的な力が働いているとしか考えられないな。シングルを持っている人が一緒に雑誌を持っていたが、そっちにはこの勇者隊の特集がちゃんと載っていた。だが図書館や雑誌社のバックナンバーにはない。シングルの発売元の会社は倒産し、そのどさくさでマスターデータがない。再販もされていない」
「それじゃ逆に呪われているみたいじゃないですか」
ゾフィーはタロウの言葉に嬉しそうに口元を綻ばせた。
「ズミカを知っているだろう?」
「もちろん。宇宙的に有名な女優じゃないですか」
「彼女はこのシングルを手にしてから、一気に有名になった。
他にも大統領になったり、財閥を築いたり、ここ十年で成功したものは、大概このシングルを持っている。
それだけじゃない」
「他にも何か?」
ゾフィーは待ってましたとばかりにプレートを取り出した。
「惑星ファンタジオンでは二分化していた戦争が収まり、惑星ガーランドは地上汚染警報が7000年ぶりに解除され、惑星ムッティでは――これは我々の力不足もあったが――原住民を捕食していた宇宙怪獣がいなくなった。いずれも、このシングルの所有者がいる」
「まさか。たかが音楽データ一つに・・・・」
タロウは手の中のシングルを見た。
「幸運を招くというのなら、それぐらいの曰くがあった方が面白い」
ゾフィーはタロウの手からシングルを受け取ると、机の上に飾った。
「さて、私はどれだけこのシングルのことを憶えていられるかな?」
ジャケットの中の三人組が、ウインクした気がした。

                                  おしまい
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ラジオ局にて21

「明日人さん、また・・・・」
ミリーが流石に疲れた様子でまた来訪者を連れてきた、。
「今度は誰・・・レディ・・・・・」
ミライは入ってきた途端、ずらりと居並ぶ兄たちに目を丸くしたが、きちんと挨拶をした。
「どうしたのレディ?」
「その、ごめんなさい!」
ミライは床に頭がつきそうな程、頭を下げた。
「僕、全然明日人さんの相談にのってあげられませんでした。
助けることも、できなくて・・・それで、あの後どうしたのか、ずっと気になっていて・・・・」
しょんぼりとするミライの肩に、慌てて明日人は手を置く。
「いや、あの時は俺が悪かったんだ。ごめんよ、レディ」
「明日人さん・・・・」
顔をあげるミライの背景に、兄たちの顔が並ぶ。
「明日人、おまえは妹に八つ当たりしたのか」
「しかもこんなに落ち込ませて」
「タロウが見たらダイナマイトじゃなすまないぞ」
「なんだったら連絡するか? 今すぐ」
「や、やめてください!」
明らかに楽しそうな兄達に、明日人は後辞去る。そのままゲンにぶつかった。
「明日人」
「いや、これは、その・・・」
「打ち合わせはどうした?」
「え?」
唐突に言われて壁にかけた時計を見る。
「ああ! 間に合わない?!」
明日人は慌ててバッグを取ると、ミライの頬にキスをした。
「何っ?!」
北斗達が硬直する。
「ごめんね、レディ。お詫びは後でちゃんとするから」
「はい、あの・・・・」
「おい、明日人!!」
「すみません、行ってきますーーー!!」
明日人はバッグを持って事務所の外に飛び出した。
「おい、ゲン!」
「すみません、ちゃんと後で詫びさせますから。とりあえず、今夜は奢りますよ」


明日人は、すっかり暗くなった街を走っていた。
さっき次々と現れた『兄達』のことを思い出し、『妹』を思い出した。取り次いでくれたミリーも、そして、事務所のスタッフ達。泣きべそなんて言われたの、何年ぶりだろう。
父の事を思い出したのも久しぶりだった。普段は努めて思い出さないようにしている、優しくて辛い思い出。
(ああ、くそ・・・・なんだって俺には、こんなに近くに、人がたくさん、いてくれるんだろう・・・・!)
 
 真っ直ぐ 行こうか 戻ろうか 
 迷っては 僕たちは ケンカしてた
 それでも 最後は 笑ってる

(笑ってる・・・・俺は今、笑ってる・・・・!)
自然と洩れてきた笑みを自覚して、明日人の笑みがますます深まった。
心配してくれるミライがいるのが嬉しい。それを思えば、慌てふためき、怒るタロウやリュウの事も想像できて、ワクワクしてくるのが止まらない。
「イヤッホーー!!」
天に向かってジャンプした。


                     FIN 【“ラジオ局にて21”の続きを読む】

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ラジオ局にて20

「社長、お客様がおいでです」
ミリーの言葉の後に、闖入者はひょいとドアの向こうから顔を出す。
「どうした? ケンカか?」
「北斗さん?!」
ゲンが軽く頷くと、ミリーは道を北斗に譲り、軽く会釈をしてその場から立ち去る。
「さっきは電話を切っちまったからな。どうした? 何か用があったんだろう?」
「え? ええ・・・その・・・」
「わざわざ来てくださったんですか。すみません」
ゲンが代わりに頭を下げる。
「いいさ。ちょっと材料を仕入れようと思ってたところだしな」
またミリーの声がした。
「明日人さん、お客様です」
ミリーの頭上から、ひとつ抜きんでた大柄な男性が顔を出す。
「郷さん!」
「やぁ」
「どうしてここに?」
「さっき君がかけてきた電話、あれ、次郎が電話をかけてきたのにそっくりだと思いだしたね。何かあったのかい?」
「まあ、その・・・・」
明日人が言葉を濁していると、またミリーが来訪者を告げた。
「隊長?!」
今度はゲンが驚く番だった。ダンとハヤタが一緒に来ていたのだ。狭い部屋の中が一気に狭くなる。
「さっき明日人が電話をかけてきてな」
「どうも泣きべそをかいているみたいだったから心配になってきたんだ」
明日人はその言葉に顔を赤くした。
「おいおい、いい歳してみっともないぞ」
「そうかそうか。確かに次郎の泣きべそ声とそっくりだった」
「や、やめてくださいよ!」
あははは・・・と呑気な笑い声が広がる。

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ラジオ局にて19

明日人は結局、事務所に一旦戻った。一度仕事のことを思い出してしまえば、それを忘れるのは容易ではなかった。 子供の時入った父の執務室の中が頭にちらつき、一度決めた約束を違えるこなどしてはならぬと、言い聞かせられたことを思い出した。
人の気配を伺い、裏口から入る。さっきゴロゴロしていた部屋はまだ散らかったままで、楽譜もテーブルの上に置きっぱなしになっていた。放っておいたバッグの中に楽譜を詰め込む。まだスタジオに行くには少し早い時間だった。
明日人はソファに寝転がると、時計代わりにTVをつけた。アニメが映り、ロボットが適当に喋っていた。
『おお~っと、オイラ達を忘れてもらっちゃぁ困るぜい!』
不意に聞こえた声に、明日人は顔をあげてTVを見た。
「?!」
『なんてったって主人公! 原島タクヤだぁ!!』
『同じく主人公! 時村カズキ!!』
『僕だって主人公! 須賀沼ダイ!!』
何所かで聞いた声と見た姿が、二次元で映っていた。
「えええーーーーーー?!?!?」
明日人はTVにしがみついた。
「ちょっと?! 何?! どういうことーーー?! 何やってるの君たち?!」
『信じる信じないは、そなたの自由』
赤い髪の青年が言った。海賊の衣装を着ていた。
「海賊の、衣装・・・・」
『もっと凄い冒険、始めようぜ!』
『心得た!』
と、続けて聞こえてきたのは。
「《僕らの冒険》だ・・・・」
【あれ、オイラ達のテーマソングなんだぜ】
【オレ達こう見えても冒険者なんだ】
「まさか・・・・そんな、わけ・・・・
ちょっとぉ!!!」
TVに向かって抗議をあげ、ガンガン叩いていると、ゲンが入ってきた。
「明日人、帰ってたのか。何をしているんだ」
「だって、これ・・・兄さん・・・・ちょっ・・・」
明日人はゲンとTVと交互に見た。
『ってなわけで、最終回だよ! 全員集合~~~!!』
「何が最終回だよ!」
「何をTVに向かって怒鳴っているんだ、さっきから」
『皆も、冒険しろよ~~!!』
「冒険しろよじゃないよ!」
明日人はCMを流し始めたTVをまた叩いた。
「よさないか」
「だってこれ・・・何?! 今日の俺は何だったの?!」
「何時ものお前らしくなかったが」
「しかもその挙句がこれ?!」
「TVがどうしたんだ?」
その時ノックがした。
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ラジオ局にて18

明日人はコートのポケットに手をつっこんだまま、夕方になりかけた街を歩いていた。
(なんで、なんで何も残っていないんだ?!)
あの放送を何人の人間が聞いていたんだろう。道行く人々を片っ端から捕まえて聞いてみるか。
「・・・・そんなこと、できるわけない・・・・」
通り沿いのショップから16時を告げるメロディが流れてきた。
(17時半から打ち合わせだっけ・・・・・)
楽譜はまだ事務所に置いてある。暗譜はしていたが、スタッフとの打ち合わせをするのにそうはいかない。
だが、ゲンともミリーとも顔を合わせたくなかった。
(やめちゃおうかな・・・・)
溜息を吐く前に息を吸うと、ポンポンと足元にサッカーボールが落ちてきた。
「すみませーん!」
小学生ぐらいの男の子が、街中にある小さな公園の茂みをかきわけて明日人の前に出てきた。明日人はかがんでサッカーボールを拾いあげた。鎖が小さく音を鳴らす。
「これかい?」
「はい! ありがとうございます!」
男の子に手渡すと、僅かに手が触れ合う。
「おーい、ボールあったか~?」
「あったあった!」
男の子は友人の声のするほうに手を振り、明日人に頭を下げると公園の方に戻っていく。
明日人は、男の子と触れた手を見つめた。
「あの手の温もりはなんだったんだろう・・・・・」

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